経済学部経済学科国際商学科公共マネジメント学科研究・大学院紹介地域交流国際交流キャリア支援キャンパスライフ入試情報33SHIMONOSEKI CITY UNIVERSITY 「ゆりかごから墓場まで」という言葉があるように、今日のイングランドでは、基本的には、医療費は無料で、教育費も公立高校までは無償です。スコットランドにおいては、これらに加えて大学の学費も無料です。イギリスでは、なぜこのような福祉社会が実現されているのでしょうか。その理由の1つとして、経済学を支える哲学も含めて貧困対策と教育を重んじるイギリス経済学の歴史的形成が深く関係しているのではないかと考えています。こうした問題意識から、私は、経済学の父で知られるアダム・スミス以後のイギリス経済学の特徴を明らかにすることを目的に研究しています。 そのほかに、私は、イングランドの大学で歴史上初めて経済学講義が行われた東インド・カレッジにおけるマルサスの経済学講義の特徴と制度化についても研究しています。この研究では、経済学の形成期において、経済学と倫理(道徳哲学)が乖離するプロセスも含めて、経済学という学問がイングランドの大学でどのように制度化されていったのかを探究しています。アダム・スミス以後のスコットランドとイングランドの経済学の比較研究Theme18・19世紀のイギリス経済学史経済学科荒井 智行 准教授Arai Tomoyuki 私は、近代日本の経済発展について、その基盤となる交通やエネルギーといったインフラ産業や金融事業を中心に、事業の担い手である企業家の活動分析を研究しています。生活の基盤となる鉄道網はどのように形成されていったのか、経営危機に陥った金融機関はどのような改革を実施したのか、近世以来の在地の有力者は明治に入るとどのように地域の産業化を推進していったのか、電力企業のミドル・マネジャーはどのように地域社会と向き合ったのか、若しくは、クレジットカードが存在しなかった時代に、庶民はどのように資金をやりくりしていたのか。こうした現代にもつながる問題について、歴史的な一次史料の分析を通じて取り組んでいます。 私が専門として研究している19世紀末から20世紀前半にかけての時期は、急速な産業化によって日本経済が大きく発展していった時代でもありました。100年ほど前の経済社会の転換期に、新たな挑戦や社会の変革を試みた企業家の活動を分析することは、21世紀の経済社会を形作る上でも、参考とすべき知見を得られることでしょう。日本経済の“かつて”を知ることで、“いま”を理解し、“これから”に役立てるTheme近代日本経済史企業家の活動を、一次史料から解き明かす国際商学科三科 仁伸 准教授Mishina Masanobu
元のページ ../index.html#35