山陽小野田市立山口東京理科大学 研究・教員紹介BOOK 2024-2025
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MATSUNAGA, HirofumiYASUYAMA, Takuro野球グローブが右手・左手用と区別されているように、私たちの体は、薬の有効成分の三次元構造を「右手・左手の関係」(お互いが「元の物質」と「鏡に映った物質」の関係で、「鏡像体」といいます)のレベルまでしっかりと認識することができます。見た目は同じようでも、ごくわずかな違いによって、薬の効き目に差が出たり、副作用が起きたりします。私たちは、「鏡像体」が存在しうるような医薬品などの合成の際に、片方の立体構造のみを簡単に、効率的に合成する方法(不斉合成)の開発に取り組んでいます。NISHIMOTO, Arata#薬の組み合わせ #がんの新しい治療法HOSOI, Toru大腸がん、膵臓がんに有効な抗がん剤・阻害剤の探究小胞体ストレス関連疾患の発症機構を明らかに西本 新 教授細井 徹 教授薬の有効成分の、片方の立体構造のみを効率的に合成!松永 浩文 教授安山 卓郎 助教#小胞体ストレス #代謝性疾患#片方の立体構造 #不斉合成薬学部 薬学科薬学部 薬学科薬学部 薬学科薬学部 薬学科共同研究● 博士(生命科学)■ 生命科学系基礎薬学分野● 博士(薬学)■ 臨床薬学系臨床薬理学分野● 博士(薬学)■ 有機化学系薬品製造化学分野● 博士(薬学)■ 有機化学系薬品製造化学分野現在、大腸がん、膵臓がんに対する治療法として、外科的手術、放射線照射とともに抗がん剤投与が広く行われています。しかし、これらの抗がん剤に耐性を示すがん細胞が出現し、再発を引き起こす場合があり、新たな治療法の開発が求められています。そこで、当研究室では、様々な抗がん剤・阻害剤を組み合わせて、培養しているがん細胞に添加し、細胞生存率を指標として、高い抗腫瘍効果を示す抗がん剤・阻害剤の新たな組み合わせの同定およびそのメカニズムの解明をめざしています。細胞内の小胞体は、細胞内カルシウムの恒常性維持やタンパク質の正常な折り畳みを担っています。その機能に不具合が起きると、異常タンパク質が蓄積し、肥満や糖尿病などの代謝性疾患、アルツハイマー病やパーキンソン病等の老化関連疾患の発症要因になると考えられています。私たちは、ストレス等の負荷により、小胞体の機能に不具合が起きる原因を明らかにすることで、これらの疾患の発症機構を明らかにし、さらに新しい治療薬の創造をめざし、日夜研究に励んでいます。023  研究・教員紹介BOOK 2024-2025高校時代に基礎医学研究に興味を持ち、生命科学の分野に。大学院修了後、国内外の研究機関で経験を積み、2021年春より当薬学部に所属しています。(上は大学入学時の写真)マウス皮下に植え込んだヒトがん細胞の各薬剤投与後の造腫瘍性の変化(右)と14日間各薬剤を投与した後のマウス皮下腫瘍(左)抗体プレートに膵臓がん細胞由来のタンパク質抽出液を添加し、リン酸化タンパク質の量をスキャナーにより測定した結果の一例。山口は、いろいろな生き物や植物が生息する、自然が豊富で魅力あふれる土地です。写真は大学構内で見かけたアサギマダラです。生体にさまざまなストレスが負荷されることで、恒常性維持機構が働かなくなった結果、病気の発症に至ります。小胞体ストレスが抗肥満作用を有するレプチンシグナルを抑制し、肥満の原因になることを明らかにした研究結果です。野球が好きで、米国留学時には車で4時間かけてミネアポリスまでMLBの試合を見に行っていました。鹿児島県出身です。講義で訛ることがしばしば…。写真は鹿児島の桜島です。2本のボールペンや右手と左手は、それぞれお互いに鏡像の関係?重ね合わせることができる?不斉合成を可能にする触媒の基本構造は同じでも、部分構造を変えることで、生成物の右手型・左手型を容易につくり分けられます。がんの新規治療法の開発!小胞体の機能改善と新薬の開発必要なのは右手?左手?

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