静岡文化芸術大学 大学案内 2024
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文化政策×デザイン学部・学科・学年を超えるSUAC生たちは、学部や学科、学年の枠を超えて、様々な企画やプロジェクトに取り組んでいます。実践演習のような授業としてのプログラムはもちろん、学生たちが自主的に活動するユニットが多いのもSUACの特長です。様々な協働を通して、自分とは違う感性に触れ、今まで知らなかった考え方に出会う創造的な学びが待っています。世界的な舞台美術のコンペで学生チームが快挙得意分野で役割を見出しチームで補い合う学び学科の枠を超えて交流し体験を通して理解を深める2023年6月にチェコ・プラハで開催される世界の舞台芸術の祭典「プラハ・カドリエンナーレ展」において、現地の日本ブース(学生・新人部門)に設営される舞台装置デザインのワークショップ&コンペティションに、全国7大学の学生と共に本学から7名が参加。デザイン学科4年の岡田貴一さんと芸術文化学科2年の酒巻鼓さんを含む大学混成チームが、見事に最優秀賞に輝きました。大学や学科の枠を越えたメンバー構成で、学生の拠点が浜松と東京と遠隔だったためミーティングはすべてリモート。与えられた作品テーマ「繋がる」をもとに、コンセプトづくりからデザイン案作成、プレゼンの準備という流れで3週間にわたってデザイン作業に取り組みました。チームリーダーを務めた岡田さんは「作品づくりを主とする芸大のメンバーと違い、自分はデザイン学科で学び、プレゼンテーション力も身につけていたことが、チームを牽引できた理由の一つ。最優秀賞を受賞できたことは自分たちの自信になりました」。最優秀賞に輝いた岡田さんたちの作品は、「外からは鏡に見えて、内からは透けて見える」マジックミラーを用いた舞台装置。見え方が異なる状況を提示して、来場者が「繋がりを俯瞰する」ことがコンセプトです。リモート画面やSNSの写真のように、見えているのは切り取られた一部であり、排除された部分にも実はリアルな存在があるという、繋がりを体験的にデザインした作品となりました。現代美術の視点から何かできないかと参加した酒巻さんは、ミーティングの議事録を取ったり、要点をまとめたり、作り手ではない立場で自分の役割を遂行し、プレゼンテーションの大任も務めました。「自分とは違う知識、異なるバックグラウンドを持つ人とお互いに刺激し合い、プロジェクトを行う機会は、これからも少なくないと思います。芸術文化学科で自らの専門性を高めながら、その力をどう社会に活かせるかを考えていきたいと感じています」。コロナ禍において、リモートでのコミュニケーションが〝新しい日常〟となった学生たちが、実際に会う機会を持たなくても、アイデアを出し合い、作品づくりを進めたことは、今回のワークショップのテーマである「繋がる」を象徴するような時代を反映した体験でした。デザインと芸術文化という異なる学科の学生がチームを組み、力を発揮する場があるSUACだからこそ得られる経験や知識を身につけていきます。デザイン学科中川 晃 准教授空間デザイン/インタラクションアート芸術文化学科2年徳島県立脇町高校出身デザイン学科4年静岡県立駿河総合高校出身※学生の学年表記は取材時(2022年度)のものです。SUAC_010作品内容の素晴らしさはもとい、それ以上にチームビルディングとデザインマネジメントが素晴らしかったと考えています。初対面、他大学、フルリモートといった一般的には悪条件であったにもかかわらず、岡田さんはリーダーとしてメンバーが意見を出しやすい環境を作り、酒巻さんは芸術文化学科で学んだ知識や様々なプロジェクト経験からの意見を積極的に出されていました。早期にチームが一丸となり、問いの設定やブレインストーミング、意匠プロセスを効率的でハイクオリティに進められていました。Z世代らしい相互尊重の対話型デザインチームだったと思います。Pick Up担当教員からSUACの特色巻頭特集 _知と実践の力         1 学びのキーワード     2 学びの現場     3 学びのその先へ酒巻 鼓(左)岡田貴一(右)

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