静岡文化芸術大学 大学案内 2024
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Curricu Inforl mationカリキュラム/インフォメーションum/SUAC_109文化・芸術領域●音楽文化論音楽を持たない文化は世界中に存在しない。しかしその文化ごとに、異なる宗教的、政治的、社会的背景のもとに音楽は誕生し、世代間継承され、また新たな文脈の中で新しい音楽が生まれている。本講義では音楽を文化現象として捉え、様々な時代、様々な国々の音楽を鑑賞しながら、その多様性や多彩さの意味を考える。そうした中で音楽が人間生活とどのような関わりをもっているかを、文化史的社会史的背景とともに考え、さらには現代における多様化した音楽(的)現象も考察する。●演劇文化論人間の営為の現れとしての文化や芸術の中でも、演劇をはじめとする舞台芸術は特に古い起源と長い歴史を持っていると言える。舞台芸術の尽きない魅力とその本質を解き明かすために、日本および世界各国において現在もなお上演され、人々に親しまれているさまざまな舞台芸術作品を取り上げ、演劇が置かれている社会的環境や演劇が社会において果たしている役割、さらにはそれらの現状と今後の展望を考察する。授業ではできるだけ多くの映像資料を使用し、作品に対する理解を深めるようにする。●視覚芸術論視覚芸術の意味と可能性を探るために、主として西洋における視覚芸術の発展を振り返り、「見ること」と「表象すること」の関わりを具体的作品を例に挙げながら分析的に考察する。また、視覚表現を成立させている要素に焦点を当て、イメージの持つ機能や力についても考察する。視覚の持つ影響力の大きさが人間の思考と密接に関連しながら社会の中でどのような変化をもたらすのか、またそれぞれの時代にどのような影響を与えたのか、具体的事例に照らしつつ示す。●社会思想史様々な時代や地域における思想を、時代や地理的背景を踏まえ比較対照しながら論じる。多様な宗教や古代から中世に至る思想・哲学と社会、政治、文化・芸術との関係性を考察する。さらに、宗教革命、ルネサンス、市民革命、植民地主義、社会・資本主義などはもとより、近現代の多様な思想や日本を発祥とする思想についても論じる。単なる過去の思想史学ではなく、未来志向の視点や発想を得ることも目標とする。●市民社会論市民社会に関する多様な概念や史的展開を概観する。近年の世界各地における「市民革命」の実態や世界的な非政府組織の発展を踏まえて、グローバルな視点から市民社会と市民の権利について考える。さらに、発展する多様なボランティアや公共サービスの一翼を担う非営利組織(=NPO)の活動についても考察し、文化振興や新たな市民文化の担い手としての市民ネットワークのあり方を展望する。●社会心理学社会心理学は、社会の様々な場面で生じる人間関係や人間と社会の関わりにおける心理および行動に焦点を当て、その仕組みについて研究する領域である。この講義では、①他者認2024年度 カリキュラム●多文化共生論民族的・言語的多様性を擁する社会のあり方を考察する。日本とは異なる伝統的な移民国家や近年移民の増加が認められる国家の事例を概観したのち、日本社会における多文化共生のあり方を論じる。日本における外国人市民の増加の歴史的背景を確認した上で、1990年代から進展しつつある多文化共生の諸施策について、基礎自治体の取り組み事例等を紹介しながらその現状と課題を検討する。●異文化と教育比較教育学の理論や方法について理解を深めるとともに、諸外国の教育制度や教育内容などについて学ぶ。また、世界の学校の現状を知り、教育に関わる世界の人々の思いや願い、知恵などについて学習する。その上で明治以降の我が国の教育を見つめ、各国との相違点や類似点を踏まえ、我が国の教育が進むべき方向について考察する。さらに文化的背景や言語などの異なる子どもの増加に伴う国内の教育事情や課題(外国出身児童・生徒の教育、民族教育など)について学ぶ。●文化政策概論芸術文化振興や文化財保護、デザインやコンテンツ産業などの文化産業振興政策、国際文化交流、観光政策などをはじめ、広く市民生活に関わる広義の文化政策について、所管する各省庁や関連組織等の政策を中心に概観する。さらに、学校教育や社会教育の両者を含む教育制度と文化政策関係、医療・福祉と文化政策の関係、国と地方の関係等における制度的な問題も視野に入れながら、地方自治体における文化政策について、まちづくりの問題ともからめて学ぶ。●非営利セクターの経営これからの市民社会の担い手とされる民間非営利組織についての歴史、制度や理論的知識を身につける。「使命」の重要性やボランティア、ファンドレイジングの問題等、営利企業の経営との違いについてドラッカーをはじめとした近年の非営利経営の理論を踏まえつつ体系的に学ぶ。その上で、芸術文化やまちづくり等の分野における活動事例、マネジメント上の課題などについて概観し、あわせて、政府や営利企業等との役割分担や連携のあり方についても検討する。●地方行政論本科目では、地域レベルの行政活動や施策を理解する上で必要となる基礎的な制度・理論や地方行政の現状について、包括的かつ体系的に解説を行う。本科目で取り上げる内容としては、地方自治の理念・制度、地方行政の仕組み、国・地方の関係、地方自治体の機能・構造、自治体経営や行政改革等である。また地域が識、自己認識、対人関係、説得、援助、集団・集合行動、心と文化といった社会心理学の基礎的トピックについて理解すること、②社会心理学の研究方法について理解すること、そしてこれらを通じて、③現実的な社会的行動について、心理学的な観点から分析する力を養うこと、を目標にする。政策・マネジメント領域抱える課題への対応や地域政策の実態についても、事例を取り上げて検討を行う。なお、「地方行政」という科目名であるが、民間主体(地域住民、NPO、市民団体、企業等)が地域の課題の解決に関わる実態も視野に入れる。●会計学資金調達、設備投資、商品の仕入れ・販売など、企業が行う様々な経営活動を、定量的な給付と貨幣の対流関係の写像として描き出すこと(測定)と、それを利害関係者に開示する(伝達)ことの2つの会計行為として捉え、これらを科学的認識の対象とする会計学の基本的な概念を学ぶ。あわせて、企業の経営成績や財政状態に関する情報提供システムとしての会計の基本的原則や技法を中心に、幅広い会計の領域について体系的に学ぶ。●都市経営論都市の経営とは何かということについて、人口減少下に入った今日における経営資源の有効活用の視点、個々の都市政策の実現のプロセスを概観する。同時に、都市の経営を、広く、行政、市民、企業等らの協働する都市のマネジメントと捉え、成熟都市社会における展開方向について考察する。都市経営の範囲は、社会経済、社会資本、コミュニティ、観光、文化など多岐にわたり、これらに関する典型的な事例を取り上げて学習する。●アートマネジメント概論文化施設や実演芸術団体等、公益的な目的を達成するための非営利芸術組織のマネジメントであるアートマネジメントの基礎を修得することを目的とする。非営利組織における「使命」の重要性を理解した上で、マーケティング、ファンドレイジング、財務・会計、人的資源管理論、組織論などアートマネジメントの諸領域における基礎的な理論について、国内外の美術館、劇場・音楽堂、オーケストラや劇団等における実例を交えながら概観する。●NPO・NGO論どのように、市民社会が政府および営利セクターに並んで、社会の動きを変える力を持つに至ったか、その歴史と変遷をヨーロッパ社会から学ぶとともに、その根底にある構造として個人主義とボランタリズムの影響を読み解いていく。こうした市民社会の成長に伴い、活動が組織化され大きな影響を生み出すに従い、それらを規制、管理、支援する様々な社会的制度がどのようにつくられてきたのか、特に日本のNPO法の変遷を見ながら、考えていくとともに、NPO・NGOが未来社会にどのような役割を持つようになるかを考察していく。●憲法この授業では、憲法についての基礎知識を習得することを目的とする。憲法の概念や、日本国憲法を支える基本原理、日本国憲法成立の歴史的経緯といった憲法の総論的な概説を経て、憲法によって保障された権利を対象とする基本的人権の分野と、憲法の基本原理を実現するための国家機関の仕組みを対象とする統治機構の分野について、裁判例の検討を交えながら学んでいく。

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