Curricu Inforl mationカリキュラム/インフォメーションum/SUAC_115●日本文学史日本の神話・伝説・昔話といった口承文芸(伝承文学)を主軸のテーマとして、そこから展開・派生するかたちで上代から近現代までの日本文学の体系的な歴史を学ぶ。通史的・編年的な文学史ではない。日本文学というジャンルと作品に深く関わって、文学作品とその成立と展開を支えてきた社会、歴史、民俗、風土、信仰、国際性などについての理解を目指す。受講生には、この講義を通して日本文学の「広がり」について考える機会としてほしい。●現代日本語表現現代日本語表現を、意識的かつ分析的に観察する視点を涵養する。実際のコミュニケーション、フィクション、住生活や食生活といった生活場面、時には、社会変化などから、それらの中で見られる日本語表現を取り上げていく。日本語表現の特質とはどんなものか、その特質がある場面でどのような効果を持ち得るのか等に注目し講義をする。また、取り上げた現代日本語表現が、どのような変化を経て、あるいは、どのような歴史的背景を持ち存在しているのか等の通時的な視点も取り入れていく。●日本文学A日本の古典文学作品を対象として、古典文学を理解するために必要な基礎知識を習得する。古典文学は、それが成立した社会、歴史、民俗、風土、信仰、思想などさまざまな視点を踏まえて読み解かれるべきである。作品に込められた作者の、あるいは伝承者たちのメッセージを正確に読み解くことで、古典文学の中に受け継がれた日本文化の深層への理解を目指す。受講生には、この講義を通して日本文学の「深み」について考える機会としてほしい。●日本文学B日本の近代文学および現代文学を対象として、それらを理解するために必要な知識の習得を目指す。明治以降の文芸は西洋の思想的影響に晒されて浪漫主義や自然主義といった思潮を展開させた。この講義では、特に自然主義の思潮を近代文芸における基軸の一つとして捉え、その展開と葛藤、相克といった視点から個々の作家、作品を検証してゆく。近代日本における文芸の流行とその社会的な背景を学ぶことで、一つには高い教養を身につけ、あるいは「近代」とは何だったのかまでを思考する機会としてほしい。●漢文学Ⅰ『論語』『孫子』『韓非子』等のように、日本の思想や文化に大きな影響を与えた古代中国の思想書をテキストとして、漢文の基本的な読解・訓読の知識と技術を習得する。また、漢文訓読の知識や技術だけではなく、それぞれのテキストやエピソードの作者、歴史、社会、文化、思想、そして日本文化への影響(享受)についても学び、高次の知識・教養を養う。高等学校の国語科教員として「漢文」の授業ができるに足るスキルの習得を目指す。●漢文学Ⅱ李白、杜甫、白居易といった日本の文学に大きな影響を与えた漢詩をテキストとして、漢文の基本的な読解・訓読の知識と技術を習得する。また、漢文訓読の知識や技術だけではなく、それぞれの作者と詩にまつわるエピソード、社会、文化、思想、そして日本文学への影響(享受)に2024年度 カリキュラム●日本史学A日本の中世から近世を対象として、その社会のあり様と人々の存在形態について考察する。特に身分制社会の成立過程と、その中での人々の社会的役割や生活・思想についてみていく。武士・公家・百姓・町人・被差別民というような社会集団からだけではなく、女性や子ども・老人といった年齢や性別、あるいは身分を超えたネットワークのあり様など、多様な視点から分析を試みる。そのことにより、今日の日本社会のあり様についても考える力を養う。●日本史学B前近代から近現代に至る日本の歴史について具体的史料に基づいて講義する。この授業では、日本列島を超えた国際的な視野で世界史の中の日本史を捉える。また、こうした世界史の中で、静岡県域あるいは三遠南信(三河、遠江、南信濃)、東海地域というこの地に、どのような影響がみられたのかを、地域に根ざした歴史から理解させていくものである。世界と地域という二つの視点を重視しながら、人物史、政治史のみならず、社会経済や文化の推移についても、論じていく。●日本語語彙研究日本語の語彙の性質について、日本語学的な観点から体系的な語彙論のもとに学んでいく。語彙というのは語の集まりである。本講義で学んでいくのは語(個別的な語)ではなく、語の集合である語彙である。具体的には、語彙には、どのような特徴があり、どのような構成をしているのだろうか、また、日本語を学ぼうとする外国人に、日本語を教えるためには、どのくらいの語彙の知識が必要であろうか、などである。これらを学ぶことで、日本語の語彙に対する客観的・分析的な視点を養ってほしい。●日本語研究日本語を総体的かつ客観的な視点で分析する方法について学ぶ。用例の収集、データベース作成、そして、作成したデータベースの分析を行う。また、日本語研究や日本語教育で、データベースを通して分析した結果の利用法についても考えていく。高度情報化社会では、コーパスを使った辞書をはじめとし、データ化された資料やデータベース化された資料が多く存在し、今後もますます増え続けていく。本講義で学んだスキルによって、より実証的に、より客観的に情報を操作できるようになり、高度情報化社会で生き抜く力を身につけてほしい。●日本文学作品研究特定の文学作品の原典を精読する。作品の本文だけでなく、その成立をめぐる歴史的・社会的背景、文化的・思想的環境、諸本(テキスト)の異同・分類、研究史、最新の研究課題、研究手法などを学ぶ。日本文学の本格的な研究成果に触れることにより、課題・論点の見出し方とそれを解決する方法(資料の読み方、調査の手法など)の習得を目指す。受講生には、この講義を通して日本文学について高いレベルでの教養を習得する機会としてほしい。ついても学び、漢詩の世界観をめぐる高次の知識と教養を養う。「漢文学Ⅰ」に引き続き、高等学校の国語科教員として「漢文」の授業ができるに足るスキルの習得を目指す。●古文書の調査と読解 日本の歴史や文化を研究するための一番の基礎は、対象となる時代に記された古文書を読むことである。しかもそれは活字史料ではなく、原史料であることが望ましい。そこで古文書の読解力を養うことを目的とし、実践的な授業を行う。その際、まずは現代の公文書をはじめ、記録遺産としての資料の価値を知ること、資料全般の収集・整理・保存・活用の意義と課題を学ぶことから始める。その上で、江戸時代のくずし字を中心に古文書の読解を進める。●美術史(日本・東洋)Ⅰ古代から中世に至る日本美術の主要な作品をスライド等で見ながら、それぞれの時代にどのようなものが制作されていたのか、またそれぞれの様式的特徴はいかなるものか明らかにする。その時中国・朝鮮半島の美術から日本が何を受け取り、そこからどのようなものを作り出したのかといった視点から、日本美術の特色とは何か検討する。また、そのような作品が制作された社会背景、思想的背景などにも考えを及ぼす。これらによって日本美術史の基本的な研究方法に触れるようにしたい。●東南アジアの文化と社会A東南アジア島嶼部を舞台に、外文明との関わり、人の移動と文化の変容、植民地支配の影響、一つの国家としてまとまってゆく過程、独立国家の民族政策・文化政策、言語と教育といった大きな枠組みを念頭に置きながら、文化の重層性や動態について理解を深め、今日の東南アジアを正しく認識するための視座を身につける。その上で、インドネシアにおける地域文化を動態的文化の事例として取り上げ、具体例に基づいて理解を深める。●東南アジアの文化と社会B近代以前の東南アジア史に関して基礎的な知識を習得した後、近現代の東南アジアにおけるネーションやエスニシティをめぐる諸事象について理解を深める。東南アジア各地の事例を見ながら、この地域の人々の自己認識がどのように変化したかをたどり、政治や文化における統合や多様性について考察する。また、東南アジア出身者やその子孫が東南アジア以外の地域で定住している事例を取り上げ、そうした人々のアイデンティティについて考察する。●中国の文化と社会 本講義では、「文化」と「社会」からアプローチすることで、多角的な視点から重層的に中国を理解することを目標とする。中国に関する様々な最新情報に触れながら、格差と人的移動、政治の民主化と共生社会の実現など、毎回異なるテーマに時間的縦軸と空間的横軸を併用して取り組み、多様な中国の現実を捉える方法を学ぶとともに、具体的なデータや映像を用いて中国の文化と社会を理解する技術や理論を習得する。講義では、多民族多文化社会と国際化社会を生きるための様々な現実的社会問題に目を向けさせることを可能な限り心がける。●中国経済論改革開放政策実施後における中国の経済政策と経済情勢の変化をたどる。計画経済から市場経済への移転に焦点を当て、それに関わるマクロ経済の諸テーマに基づき中国経済の現状を捉え、「経済」というキーワードを通して中国理解を深める。市場経済の基本的な仕組みを理
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