Curricu Inforl mationカリキュラム/インフォメーションum/SUAC_117多文化共生2024年度 カリキュラム●西欧近現代史ルネサンス以降の西ヨーロッパの歴史について、日常生活に直結する物質的な条件や経済状況と、それをとりまく経済思想・世界観から検討し、近代文明を成立させた西ヨーロッパの特殊性について考察する。その際に歴史学研究としては、研究対象となる時代に書かれた文献を原文または翻訳で読み、それを手がかりに過去についての情報を獲得し、もう一方では既存の研究成果を参照しながら、それが書かれた時代背景を再構築する方法を試みる。●英語学概論Ⅰ英語の音声、形態、統語、意味、語用、英語の歴史的変遷の側面を扱う英語学について、言語事象例を見ながら理解を深めていく。具体的には、英語の意味解釈・産出はどのように行われるのか、英語はどのように使われるのか、英語のメカニズムを考えながらひもといていく。それらを通して、英語という個別言語だけではなく人間言語そのものを理解する。また、同時に、言語の様々な側面が第一言語としておよび第二言語としてどのように習得されるのかも概観する。●英語学概論Ⅱ英語学に関する知識を一層深化させ、ことばの仕組みを考える上での科学的アプローチの方法を学び、英語という言語をさらに深く理解する。具体的には、複数の分野の言語に関する先行研究を通して、できる限りそれぞれに即した考え方、および研究手法を身につけてもらう。それらをもとに、第一言語として英語を習得する場合と、第二言語として英語を習得する場合の類似点と相違点を明確にしながら、英語およびその習得のメカニズムを探る。それらの結果から、英語学に対して何が提案できるのかも考察する。●西欧・北米の歴史近代市民社会を胚胎し発展させた西欧・北米の歴史について、法制・政治体制と、それをとりまく文化・思想・価値観に重点を置きながら検討する。その際に歴史学研究としては、研究対象となる時代に書かれた文献を原文または翻訳で読み、それを手がかりに過去についての情報を獲得し、もう一方では既存の研究成果を参照しながら、研究する者が自らの視点や問題関心から出発して過去を再構築する方法に学び、歴史についての見方を養う。●音楽史Ⅰ主としてヨーロッパの音楽史を扱う。古代ギリシャやローマの音楽理論から始め、グレゴリオ聖歌から初期ポリフォニーの時代、ルネサンス期を概観したのち、バロックからハイドン、モーツァルトの時代、ベートーヴェンからシェーンベルクの時代までを中心に扱い、それぞれの時代様式(響きや構造の特徴)を把握するだけでなく、作曲家の個人様式を代表するような作品を聴きながら、その特性について学習する。また西洋世界における各時代が音楽に何を求め、それが具体的にどのような場で演奏されたのかについても講義する。●EU論1992年のマーストリヒト条約締結を経て成立したヨーロッパ連合(EU)は、共通の外交・安全保障政策や社会政策を進め、さらに通貨統合によって、新たなヨーロッパを建設し、世界情勢を変えようとしている。これは国民国家、国民経済という17世紀以来の西欧秩序に根底的変更をもたらす一方、EU加盟国の拡大をめぐっても、新たな矛盾、域内紛●ドイツの思想と社会ドイツ語が主に用いられ、ドイツ人が支配的である地域としての「ドイツ」においては、国民国家形成という点では独自の歴史を経ながら、西ヨーロッパを代表する哲学・思想、また芸術や文学が現れてきた。本講義では、そうした意味での「ドイツ」および、近代以降のドイツとオーストリアの社会と思想について講義する。特に、なぜワイマール体制がもろくも崩壊して、ナチスを生み出したかを、近代ドイツ思想史の中から考察する。●美術史(西洋)Ⅰ先史時代から近世ヨーロッパの美術の歴史を学ぶ。また美術作品が誕生した社会背景もあわせて考える。前半は西洋美術の基礎ともいえる古代ギリシア・ローマ時代からキリスト教美術の誕生と発展を経て、ルネサンスに至る軌跡を、後半ではバロック、ロココという近世近代におけるヨーロッパ圏の文化交流を、さまざまな作品を紹介しながらたどり、それらの作品に固有の様式的特性を見極め、さらに様式分類や図像分析といった美術史研究の基礎的な方法論も探求する。●美術史(西洋)Ⅱ美術史(西洋)Ⅰで学んだ知識を基礎として、フランス革命以降の近代ヨーロッパから20世紀前半の美術の歴史を学ぶ。また、美術作品が誕生した社会背景もあわせて考える。ルネサンス時代に起こった社会の大きな変化に伴う芸術上の大変革からバロック、ロココ時代を経て、19世紀近代、さらには20世紀に至るまでの社会の変遷と美術史の流れを、各時代、地域、作家等による様式の違いや影響関係を確認しながら歴史を俯瞰する。●多文化とエスニシティ浜松市では、学校や地域社会で日本人と共に様々な国籍の外国人が共生している。この多文化の現状を踏まえ、外国人と日本人の「当事者の視点」からの問題提起を受け、互いの理解を図る。また、浜松市在住の外国籍者の中で最も多いブラジル人(日系ブラジル人)の歴史的背景に焦点を当て、国際移動に伴う社会的適応とエスニシティの形成過程について、諸外国の事例を紹介しながら学ぶ。さらに、外国人第二世代の教育と受け入れ社会への適応の実態とその問題点について考察する。●イスラーム概論今や全世界の4分の1近くの人々に信仰されるに至った世界宗教イスラームは、その居住地域をも日増しに拡大している。グローバル化の進展により、もはやムスリム(イスラーム教徒)と没交渉ではいられなくなった。ここでは、日々の暮らしから国際関係に至るまで人間の行為が関わるすべての領域において信徒たちを律する規範となっているシャリーア(イスラーム法)への理解を深めることを中心に、この宗教独自の世界観・思考様式について初歩から順に学ぶ。また、宗派の違いをはじめとする、この宗教内部の思想的多様性を概観する。●日英語比較研究日本語と英語を比較することを通して、音韻論、意味論、統語論、認知言語学、語用論、談話分争を起こしかねない。本講義は、EUの発展がもたらす様々な経済的、政治的問題を考察する。専門科目●文化交流論日本列島における他地域との文化交流について主に歴史的視点から講義する。近代の国民国家の国境線や枠組みができる以前の列島における文化の練り上げられ方を、形質人類学、文化人類学、考古学、言語学、歴史学、古文書学など諸科学の成果から、論じていく。本授業は国内の文化交流にも目を向ける。のちに「日本人」と呼ばれる列島人の中、つまり近代国民国家日本の中にも、さまざまな文化が内在し、国内で交流し合っていることについても理解を深める。●国際労働力移動論国際労働力移動は、国際化する労働市場と多文化化する社会を理解するために重要な視点となる。本講義では、国際移動に関連する概念、移動の背景、歴史などを踏まえ、日本を含む諸外国の事例や動向を紹介する。国際労働力移動が受け入れ国と送り出し国にどのような影響を与え、相互にどのように関連し合うかを考えるきっかけになることを目標とする。さらに、国際移動から形成される多文化社会の中で生きる人々の生活状況と挑戦を考察する。●日本語音声学音声・音韻について基本的な知識を体系的に学んでいく。日本語の音とは、どのような特徴があり、どのようなシステムに基づいているのか。また、日本語の音韻は歴史的にどのように変化してきたのか。日本語の音声・音韻全体を概観する。また、非母国語話者に対して指導することを念頭に置き、日本語の母語話者の発音に近づけるためには、どのような点に気をつけていくのか、また、学習者の発音をどのように修正するのかを考える。この視点を通して、日本語音声を客観的に観察していく。●日本語文法Ⅰ日本語文法を新たな視点から捉え直すことが狙いである。日本語を外国語の一つとして捉え、日本語を内省する力を身につけながら、日本語文法の仕組みと体系を学んでいく。また、日本語の母語話者だけでなく、非母国語話者に対しても、日本語の規則を説明する力を養っていく。非母国語話者の立場に立ち、想像力を働かせることで、どんな状況にも対応できるような実践的な文法指導力を獲得することが可能となる。教科書に載っていることをそのまま暗記するのではなく、自ら考えたり、グループディスカッションを行ったりして、体験的に学んでいく。●日本語文法Ⅱ本講義は「日本語文法Ⅰ」の応用編である。理論的・体系的な文法論を展開することで、現代日本語文法の体系的なありようを掌握する。これによって、現代日本語の文法システムを理論的・体系的に捉える視点を身につけ、現代日本語を文法的に分析できる力へとつなげていく。また、「日本語文法Ⅰ」同様、実践的な文法指導力の獲得を目指す。特に、定住外国人の多い地区で、多文化共生社会実現に寄与するために析、英語史などの視点から、その相違点と類似点を考察する。具体的には、これまでの研究を概観しながら、相違点と類似点の具体的事例に基づき、言語の個別性と普遍性への理解を深め、できる限りそれぞれに即した言語事象の発見を目指してもらう。また、同時に、日本語および英語を外国語として習得する際のそれぞれの問題点とその対処法についても考察する。
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