静岡文化芸術大学 大学案内 2024
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SUAC_011みさくぼ正体を怪しみ、ある夜、男の帰りぎわに糸のついた針を男の衣の裾にこっそりと刺した。屋敷の者たちがその糸をたどると、男は近くの沼に入ってゆく。男の正体は沼の大蛇だった。村人は沼に金物を放り込んで大蛇を退治しようとした。大蛇は苦し紛れに沼から暴れ出ていった〜これは「蛇聟入り」という話型に分類される伝説で、似たような話は全国各地にあります。へびむこいタイプ春野町坂下での現地調査(2023.3.16)         春野町花島(花島自治会館)での採録調査(2018.5.26)            これまでに刊行した書籍の視点から日本文化の深層をひもといてみましょう。  たとえば、浜松市天竜区の水窪という地域に次のような伝説が伝わっています。〜昔、水窪の上村という集落に立派な屋敷があった。その屋敷の娘のもとに夜な夜な、どこからか若い男が通ってきた。娘の母親は男のうえむらかなものまぎ【科目/国際文化概論】“伝承文学”の挑戦私の専門は伝承文学です。伝承文学というのは、わかりやすくいえば「日本文学×民俗学」です。伝説の背景に潜む“■”を追って各地へ調査に出向きます。国際文化学科なのに日本の伝説?…と違和感を覚える人もいるかと思います。しかし、外国の文化を理解するためには、まず自国の文化を正しく理解しなければなりません。伝承文学知と実践の力 学びの現場二本松康宏 教授 日本文学/伝承文学長野県長野市生まれ。専門は伝承文学。フィールドワークによる実証的検証を重視し、伝承の基層とそこに秘められた“■”を解き明かしている。近著に『城郭の怪異』(三弥井書店、2021年)、『諏訪信仰の歴史と伝承』(三弥井書店、2019年)などがある。2SUAC民間口承文化財(民話)の調査と記録、そして出版へ

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