静岡文化芸術大学 大学案内 2024
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Curricu Inforl mationカリキュラム/インフォメーションum/SUAC_123専門科目芸術運営の実践2024年度 カリキュラム●音楽史Ⅰ主としてヨーロッパの音楽史を扱う。古代ギリシャやローマの音楽理論からはじめ、グレゴリオ聖歌から初期ポリフォニーの時代、ルネサンス期を概観したのち、バロックからハイドン、モーツァルトの時代、ベートーヴェンからシェーンベルクの時代までを中心に扱い、それぞれの時代様式(響きや構造の特徴)を把握するだけでなく、作曲家の個人様式を代表するような作品を聴きながら、その特性について学習する。また西洋世界における各時代が音楽に何を求め、それが具体的にどのような場で演奏されたのかについても講義する。●音楽史Ⅱ主として日本・東洋の音楽史を扱う。中国大陸との交流によって伝えられた雅楽や聲明に始まり、中世の能楽、平家(平曲)など、近世邦楽の浄瑠璃、長唄、地歌、箏曲を経て(歌舞伎・文楽等の劇音楽にも言及)、明治以降の西洋音楽導入に伴う新日本音楽や現代邦楽の成立に至るまでを概観する。また、それぞれのジャンルの理論や用いられる楽器について、記譜法や伝承の問題、それぞれの音楽・芸能が成立した社会的背景にも触れ、その特徴を深く理解する。また日本と深く関わる東洋(アジア)の音楽史についても概観する。●演劇史Ⅰ主としてヨーロッパ演劇の歴史を学ぶ。まず、西洋の演劇が本格的に開花した古代ギリシャ・ローマ時代から中世・ルネサンス、さらにはシェイクスピア、モリエールらが活躍した黄金時代、そして18世紀啓蒙主義時代に至る演劇の流れを、具体的な作品を見ながら概観する。次いで、欧米を中心に、19世紀から現代に至る演劇の基本的な潮流をたどる。ロマン主義の演劇、近代のリアリズム演劇、そして20世紀の前衛演劇から最先端の演劇までの展開を、映像資料を用いた作品鑑賞を通して理解する。●演劇史Ⅱ主として日本の芸能と演劇の歴史を学ぶ。芸能という言葉の原義を探りつつ、伎楽、舞楽、田楽、猿楽など日本の初期の芸能の諸相を概観した後、観阿弥・世阿弥が大成した能について基本的な知識を習得する。特に世阿弥の芸術論について演技論的あるいは身体論的な視点から考察し、それが現代の西洋前衛演劇に与えた影響を明らかにする。また、能とともに成立した狂言や江戸時代に大きく発展した歌舞伎・人形浄瑠璃などの伝統芸能、明治維新後に誕生し日本の現代演劇へと通じる新派・新劇についても基礎的な知識を身につける。●美術史(西洋)Ⅰ先史時代から近世ヨーロッパの美術の歴史を学ぶ。また美術作品が誕生した社会背景もあわせて考える。前半は西洋美術の基礎ともいえる古代ギリシア・ローマ時代からキリスト教美術の誕生と発展を経て、ルネサンスに至る軌跡を、後半ではバロック、ロココという近世近代におけるヨーロッパ圏の文化交流を、さまざまな作品を紹介しながらたどり、それらの作品に固有の様式的特性を見極め、さらに様式分類や図像分析といった美術史研究の基礎的な方法論も探求する。●美術史(西洋)Ⅱ美術史(西洋)Ⅰで学んだ知識を基礎として、フランス革命以降の近代ヨーロッパから20世紀前半の美術の歴史を学ぶ。また、美術作品が誕生した社会背景もあわせて考える。ルネサンス時代に起こった社会の大きな変化に伴う芸術上の大変革からバロック、ロココ時代を経て、19世紀近代、さらには20世紀に至るまでの社会の変遷と美術史の流れを、各時代、地域、作家等による様式の違いや影響関係を確認しながら歴史を俯瞰する。●美術史(日本・東洋)Ⅰ古代から中世に至る日本美術の主要な作品をスライド等で見ながら、それぞれの時代にどのようなものが制作されていたのか、またそれぞれの様式的特徴はいかなるものか明らかにする。その時中国・朝鮮半島の美術から日本が何を受け取り、そこからどのようなものを作り出したのかといった視点から、日本美術の特色とは何か検討する。また、そのような作品が制作された社会背景、思想的背景などにも考えを及ぼす。これらによって日本美術史の基本的な研究方法に触れるようにしたい。●美術史(日本・東洋)ⅡⅠに引き続き、中世から近世に至る日本美術の主要な作品をスライド等で見ながら、それぞれの時代にどのようなものが制作されていたのか、またそれぞれの様式的特徴はいかなるものか明らかにする。その時中国・ヨーロッパの美術から日本が何を受け取り、そこからどのようなものを作り出したのかといった視点から、日本美術の特色とは何か検討する。また、そのような作品が制作された社会背景、思想的背景などにも考えを及ぼす。これらによって日本美術史の基本的な研究方法に触れるようにしたい。●鑑賞と批評Ⅰ美術について学ぶには、まず実際の作品を多く見て、それをじっくり観察し、作品について熟考することが不可欠である。本授業では実際に展覧会等で作品を観察することで、さまざまな美術作品の美術史的な見方、分析方法を身につける。加えて、それを効果的に記述し、伝える力を、レポートを作成することにより習得する。美術のジャンルを限定するのではなく、多くの作品に触れることで、幅広く作品を見る力を身につけるとともに、美術史の全般的な知識を広げ、展覧会の傾向や特徴を体験し知ることを目指す。●鑑賞と批評Ⅱ鑑賞と批評Ⅰと同様に、実際に展覧会等で作品を観察することで、美術作品の美術史的な見方、分析方法を身につける。加えて、それを効果的に記述し、伝える力をレポートを作成することにより習得する。Ⅰで習得した方法論をさらに展開させることを目指す。作品について正確に記述できる力を獲得するだけでなく、文献等で得た情報と作品を照応させたり、他の作品と比較することによって、より立体的に美術作品を捉える能力を得ることを目指す。●展示プロデュース論 美術館、博物館のみならず様々な展覧会における管理・運営上の問題点を踏まえながら、展●保存と修復文化財についての基礎知識の学習と、文化財の保存環境や保存方法について多角的に学ぶ。また、対象とする文化財の修復に欠かせない漆工、表装、彩色等の基本的技術について学ぶと同時に日本の伝統技法についての知識も深める。また、歴史的建造物の修復の実態なども紹介する。近年特に重要になっている保存や修復の根本的問題についても、これらに関する概念と社会との関係について考察することによってより望ましい保存のかたちを考える。●舞台運営論舞台上演の企画立案や文化施設の運営に携わるには、劇場や舞台空間について十分に理解しておく必要がある。そのための基礎的な知識を習得するとともに、実際に劇場という機構を体験的に学習し、作品を舞台で上演する上で必要となる美術、衣裳、照明、音響といった基礎的な技術を総合的に学ぶ。さらに、近年増加しつつある野外劇場や円形劇場など、従来の劇場とは異なるさまざまな演劇空間で用いられる特殊な技術についても一定の知識を得ることで、今日行われている多様な形態の舞台上演について理解を深める。●劇場プロデュース論音楽や演劇、バレエ、ダンス、オペラ、ミュージカルなど、パフォーミングアーツの領域は多岐にわたるが、そのアートマネジメントの根幹をなすホールプロデュースの役割について考察する。特定の文化施設において、どの時期にどのような公演を行うかを決定する企画立案、その前提となる事前の市場調査、ホール運営の経済的条件と地域の観客・聴衆のニーズとの調整など、舞台公演を実施するにはさまざまな課題を解決しなければならない。これらの諸問題について、できるだけ具体的な事例に即しながら考察を進めてゆく。●芸術文化演習ⅠA学生は教員ごとに設定するゼミに所属し、各担当教員の提示する専門的テーマによる研究を演習形式で行う。学生はそれぞれに関心のある専門領域を扱うゼミにおいて、文献講読、発表、報告を繰り返し行う。また、同一のゼミに所属する学生同士で議論を重ねることによって、各自の研鑽の助けとする。これまでの学びの中で養った能力を各自のテーマにおいて十分に活用しつつ、ゼミで所定のテーマにおける研究の検討を重ねながら、各自の卒業研究テーマを探っていく。 ●芸術文化演習ⅠB学生は教員ごとに設定するゼミに所属し、各担当教員の提示する専門的テーマによる研究を演習形式で行う。学生はそれぞれに関心のある専門領域を扱うゼミにおいて、文献講読、発表、報告を繰り返し行う。また、同一のゼミに所示物そのものの視点から鑑賞者にとって望ましい展示とはいかなるものかについて考える。コレクション等の常設展、特別な企画展等の様々な展覧会における展示の特性について、あるいは展示空間の問題について、様々な実例を見ながら考える。さらに、近年重要になってきている新しいメディアとの関連性やそれらを使用したより効果的な展示についても考える。卒業研究

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