静岡文化芸術大学 大学案内 2024
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からSUAC_013さらに一歩踏み込んで、その背景にある歴史や文化、人々のつながりを知ることで、格段に世界が広がります。なぜならば、日本の伝統建築は、風土を理解して生活してきた日本人の知恵と工夫が詰め込まれた宝箱のようであるからです。このことは、静岡浅間神社において建築学・歴史学・民俗学の研究メンバーで共同研究を進める中で実感していることで、現在は科学研究費の助成を受けて「江戸時代における静岡浅間神社『二階拝殿』の建築形式・技術と駿府社会」をテーマに、建築から駿府社会までを包括的に考える共同研究に取り組んでいます。日本の釘は、四角い断面をしていて「和釘」と呼ばれています。鍛冶屋が和釘を作り、それを大工が建築に使います。静岡浅間神社の建築にも「和釘」が使われていて、神社を建てた時の古文書を調べると釘に関する記述もみられます。SUACで開催したワークショップでは、講義で日本建築と和釘のヒミツを理解した上で、実際に真っ赤に焼けた鉄を金■で叩いて和釘を作る鍛冶体験、和釘を建築に使う大工体験を実施しました。日本の知恵の宝庫江戸時代の日本ではどのように建築の造営が行われていたのか? 徳川家康が隠居所と定めた駿府(現在の静岡県静岡市)を中心に研究をしています。誰もが知る有名な建築そのものからは、素晴らしい技とデザインを感じることができ、多くの気づきがあると思いますが、知と実践の力 学びの現場新妻淳子 准教授 日本伝統建築近世・近代までの建築普請活動や日本伝統建築の保存・修理とその技術を研究テーマとする。静岡浅間神社、久能山東照宮などをフィールドに研究を行うほか、文化財の保存・活用や伝統技術の普及にも積極的に取り組む。一級建築士、静岡県文化財建造物監理士。2SUAC今、伝統建築学ぶこと

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