社会課題の解決のため昨今、国内外で起こっている社会問題への意識は、講義で得た知識をベースに高められ、解決のための方策を考え実行し、繰り返すことで力をつけていきます。文化政策とデザインを学ぶ学生たちの連携はこのサイクルにも有機的な効果を生み、互いに影響を与えあいながら視野の広い”国際人“として社会に羽ばたいていきます。貧困や環境問題の解決につながる活動にやりがい先輩が手がけたクッキーをフェアトレード大学として様々な推進活動の取り組み高校生の時から貧困問題に関心があった山下真潤さんは、SUACがフェアトレード推進活動に取り組んでいる大学(フェアトレード大学)であることを知り、本学へ進学。フェアトレードの推進活動に取り組む学生団体「りとるあーす」に参加するなかで、フェアトレード商品を購入することが社会問題の解決につながることを学びました。プロジェクトの一つとして「カスカラティー」の商品開発に挑戦。コーヒー豆の製造工程で出る果皮の「カスカラ」を、生ゴミとして廃棄せず、お茶として活用することで環境への負荷を減らし、生産者の副収入につなげるのが目的です。商品化に向けて、酸味の強い味に改良を重ね、焙■して香ばしくしたり、フルーツフレーバーを加えたり、地元の製茶工場の協力も得ながら完成させました。パッケージはデザイン学科の学生が担当しました。「フェアトレードは貧困問題だけでなく、環境問題の解決手段でもあることをこの活動を通して学びました。武田淳先生からコスタリカの生産者が喜んでいると聞いた時は嬉しかったです」。「Meryenda(メリエンダ)」という現在進行中のプロジェクトは、フェアトレードクッキーのパッケージリニューアルとカスカラ味の新フレーバー開発です。10年前、りとるあーすの先輩たちが開発に携わったクッキーで、フェアトレードショップと社会福祉法人から再び協力を得て、発売に向けた準備をしています。2年次からりとるあーすの副代表を務める山下さんは、プロジェクト全体を統括する役割を担いつつ、この活動を新入生に紹介し、先輩たちの思いをつないでいくために、「Meryenda」誕生ストーリーの制作も計画中。「フェアトレード推進活動で大切なのは、まず知ってもらうこと。イベント販売の際は、まず話を聞いてもらい、商品を購入してもらう、それが社会問題解決への一歩につながります。フェアトレードを身近に感じ、考えるきっかけにしてもらえればと思っています」。国内初のフェアトレード大学であるSUACは、フェアトレードの普及を目指した取り組みや教育活動をキャンパス内外で行っています。フェアトレードを身近な問題として捉え、学べる環境が整っていることもSUACの特色です。様々なプロジェクトが学生主導で立ち上げられ、りとるあーすが行っている中学校や高校への出前授業は、中学生や高校生がフェアトレードへの理解を深めるための活動の一つです。他大学からの学生視察の受け入れなど、今後は学内にとどまらず、国内も視野にフェアトレード推進に取り組んでいきます。国際文化学科武田 淳 准教授開発人類学/環境と開発SUACの特色「知と実践」を重ねる国際文化学科2年静岡県立浜松南高校出身※学生の学年表記は取材時(2022年度)のものです。SUAC_006フェアトレードのプロジェクトの特徴は、様々な学科の学生が関わっていることです。カスカラティーの開発では、語学が得意な国際文化学科の学生が生産者と輸入交渉を行い、経営学を学ぶ文化政策学科の学生が地元製茶企業に加工方法を教わり、デザイン学部の学生が商品のコンセプトとパッケージを手がけました。各学科の学びが結び付いて商品が生まれた、まさにSUACだからできたプロジェクトでした。長年、途上国の生産国に関わってきた私も恩返しができとても嬉しかったです。フェアトレードの活動は今後も続いていきます。ぜひ、みなさんの力も貸してください。Pick Up担当教員から巻頭特集 _知と実践の力 1 学びのキーワード 2 学びの現場 3 学びのその先へ10周年を機にリニューアル山下真潤
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