静岡文化芸術大学 大学案内 2025
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”“”“ 2023年12月、学内ギャラリーにおいて、浜松市近辺で百年近く活動している企業について、その技や製品を紹介し、知見を伝える展示会が開催されました。企業の開発担当者や職人の方々に学生が聞き取りを行い、その内容をまとめたパネルを展示。文化政策とデザインの両学部の学生たちが協働して取り組みました。日本で唯一の製法、伝統の木桶熟成で看板商品の「トリイソース」造りを続ける、鳥居食品株式会社を訪問したデザイン学部4年の林さんは、調査のための企業訪問は初めての体験。社長からの「ソースの量り売りという売り方自体を工夫・デザインしたい」という言葉をヒントに、SDGsの取り組みにもつながる展開としてパネルを制作し、読みやすさ、分かりやすさを考慮してQ&A形式にまとめました。ベテラン職人が一人で担ってきた工程を、社員で共有できるようにマニュアル化した取り組みも新鮮で、「伝統を受け継ぐためには、時代に合わせた進化が必要であることに気づくことができました」。文化政策学部3年の鈴木さんは、カンパンや源氏パイで知られる三立製菓株式会社を訪問。企業概要や代表的な商品の説明を受けたあとで、事前に用意した質問シートを「”変わらない“安心や満足が長年愛される商手に2度目の訪問。ゼミ活動で学んだフィールドワークの手法を実践します。着目する商品を「チョコバット」に絞り、技術者に取材しました。長い歴史で培った独自の技術はもちろん、パッケージの変遷についても話が膨らみ、展示内容に盛り込むことに。品につながっていると感じました。経営の話、技術の話に加え、デザイン面にも着目でき面白かったです」。今回の取り組みで、二人が共通して感じたことは「お客様への想い」と「感動」「熱量」というキーワード。お客様ファーストのものづくりを大前提に、全国展開を目指して企業を拡大していくことよりも、地元の素材を使い、地元に根ざした企業であり続けたい願う想いの強さに、新たな発見と驚きがあったようです。今回の取り組みは、学生たちの学びと発表の場となると同時に、地域の方々に企業の魅力を伝え広げる機会となりました。SUACでは、学部や学科、学年を越えて、共通の課題に取り組むプロジェクトや教育プログラムを豊富に用意しています。専門分野だけにとらわれず、目的や価値観を共有しながら、文化政策とデザインという異なる学部の学生たちが、それぞれの視点で同じテーマに取り組み、刺激し合い、共鳴し合える場があることはSUACの強みとなっています。初めてのフィールドワークデザイン学部生の挑戦デザインの視点にも着目文化政策学部生の気づき学科の枠を越えて交流し体験を通して理解を深める文化政策×デザイン学部・学科・学年を越えるSUAC生たちは、学部や学科、学年の枠を超えて、様々な企画やプロジェクトに取り組んでいます。実践演習のような授業としてのプログラムはもちろん、学生たちが自主的に活動するユニットが多いのもSUACの特長です。様々な協働を通して、自分とは違う感性に触れ、今まで知らなかった考え方に出会う創造的な学びが待っています。ColumnSUACの特色巻頭特集 _知と実践の力         1 学びのキーワード     2 学びの現場     3 学びのその先へものづくりのまち静岡県浜松市でよく聞くキーワード「やらまいか精神」。“何事もまずはやってみよう” という気質のことで、浜松市の産業発展を支えました。1926 年、浜松市出身の高柳健次郎は、世界初のブラウン管を使ったテレビ実験に成功。総合楽器音響メーカーのYAMAHAも、創業者山葉寅楠が1 台の壊れたオルガンの修理をきっかけにして創業しました。自動車メーカーHONDA の創業者本田宗一郎は浜松の小さな町工場から事業をスタートしています。SUAC のある浜松市は、世界を舞台に活躍する大企業が立地するとともに、高度で独自性を持つ技術を有する中小・ベンチャー企業が集積する有数の産業集積都市。産学官連携を通じて、豊かなフィールドを活かした学びを深めていきます。デザイン学科4年愛知県立国府高校出身文化政策学科3年静岡県立浜名高校出身※学生の学年表記は取材時(2023年度)のものです。SUAC_010林 鈴菜(右)鈴木姫蘭(左)浜松

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