静岡文化芸術大学 大学案内 2025
9/100

礒村克郎教授(デザイン学部)を中心に連携を進めている浜松医科大学病院。入院中の患者や家族が憩える病院中庭リニューアルの完成を控え、クリスマスに開催される完成イベントで「クリスマスの雰囲気を感じてもらう演出をしてほしい」という依頼がSUACに。中庭ウッドデッキから建物と空間を彩る映像作品を制作しました。作品を制作したデザイン学科3年の片岡さんは、映像学や映像技術を専門とする百束准教授のゼミ生。映像制作を学ぶ中で、モーショングラフィックに興味があり、地域と密に関わる実践的な経験ができることにも魅力を感じ、プロジェクトに参加しました。入院中の子どもたちに楽しんでもらう空間をつくることを目的に、絵コンテの提案から先方とのすり合わせ、映像制作までを担当。当初の予定よりも制作期間が短縮され、タイトなスケジュールの中で作業を進め、無事に完成。クリスマスに上映することができました。クリスマスを病院で過ごす人々のために、デザインでできることは何か?「具体的な場所とターゲットがある作品づくりは初めてで、授業では得られない体験ができました」という片岡さん。ゆったりと落ち着いて観られる映像を意識し、目に優しい色使いを心がけました。サンタクロースのそりが夜空を駆け抜けると、街の家並みに一軒ずつ灯りが点いていくという5分間の作品を提案。ループ再生を考慮し「映像を途中までしか観られない場合や、途中から見た場合でも、理解できる構成を目指しました」。サンタクロースのイラストは仲間のゼミ生が担当し、それ以外のイラスト、パーティクル素材、アニメーション、エンドロールは片岡さんが制作。「絵コンテの制作など授業で学んだことをベースに、現場での臨機応変な対応など身をもって経験できました。多くの人の目に触れる作品を制作できたことにやりがいを感じ、もっといろいろな作品をつくりたいと思う機会になりました」。イベント当日は百束ゼミの先輩たちが駆けつけ、病院とSUACをつなぐ生配信を行い、感動の瞬間を共有しました。SUACでは、地域や自治体、企業など社会とつながる多くのプロジェクトを展開しています。課題を解決したり、人を楽しませたり、暮らしをアップデートしたりするデザインの力、社会での実践力は、これからの社会にますます求められる力です。キャンパスから地域へ、世界へ、羽ばたける人材を育てます。入院中の大人も子どももクリスマスを楽しめる映像を学んだ知識や技術を使い地域や人々の力になる表現を地域と一体となり未来をつくる実践的な力を身につける産学官連携を通じて、社会に役立つ人材を育む「社会に貢献する大学」を基本理念の一つに掲げるSUACには、教員の専門知識や学生の若い感性を求め、企業や行政などから共同研究・受託研究、受託事業という形で依頼を数多くいただきます。教員の指導のもと、学生たちはプロジェクトに取り組むことで視野や興味関心が広がり、さらに深い学びへと発展させます。Pick Up学生が地元遊園地の周年事業をプロデュースSUACの特色巻頭特集 _知と実践の力         1 学びのキーワード     2 学びの現場     3 学びのその先へ地域とつながる自分をみつけるSUACには専門的な知識やスキルを社会に活かす機会が用意されています。「地域連携演習」をはじめとした演習科目や、ゼミ単位での地域課題への取り組み、社会調査、フィールドワークなど、産学官と連携しながら学外にも豊かな学びの場が広がっています。それらの活動を通して学生は実践力を身につけるとともに、社会に出てからの自分の将来像を見つめ、さらなる学びへと発展させています。デザイン学科3年大阪府立和泉高校出身※学生の学年表記は取材時(2023年度)のものです。SUAC_008片岡愛果

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る