長崎県立大学 広報誌「クローバー」 2014 vol.8
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地域●「しま」の地理●「しま」の交通・物流●「しま」の歴史●「しま」の医療・福祉●フィールドワークの活用●課題解決能力の育成●就業力・社会人基礎力 の養成●カリキュラム改革●地域間の人と物の交流●ICTの利活用取組事例を県内に普及大学「しま」に学ぶ地域をつなぐ地域に還す「しま」を知る●人材育成●健康増進●産業の振興●伝統文化の継承Challenge!3 文部科学省は、平成25年度から、「地(知)の拠点整備事業」(大学COC事業)を推進しています。大学と自治体が連携し、大学の「地域コミュニティの中核」としての機能を強化していく。これが、そのねらいです。 この大学COC事業に、本学は「長崎のしまに学ぶ― つながる とき・ひと・もの ―」というテーマで応募。採択されました。 「しま」は、さまざまな課題を抱えています。急激な人口の減少、少子高齢化による地域コミュニティの低下、基幹産業の不振、伝統・文化の衰退……。そのほとんどは、いずれ全国にひろがる深刻な問題です。つまり「しま」は、時代に先駆けて日本の重要課題に直面しているわけです。 こうしたローカルな問題に、グローバルな視点で取り組み、解決できる“グローカル人材”を育てたい。この願いのもと、本学は「しま」を「第3のキャンパス」と位置づけ、「しま体験教育プログラム」を展開しています。 プログラムに参加した学生たちは、事前学習を経て、調査計画を練ります。そして、自らフィールドワーク先にアポイントをとり、「しま」を訪問。現地に滞在します。そこでの生活や人々との関わりをとおして学び、その学習成果を発表。「地域への提案」につないでいくのです。 宇久島で実施されている小中高一貫教育にスポットをあてて、調査と研究を進めました。 フィールドワークは3日間。初日は、まず宇久行政センターを訪れて「しま」の概要を学びました。その後、宇久高校を訪問して、先生方や生徒さんたちから中高一貫教育について詳しく話を聞きました。 2日目は、小学校と中学校を訪ね、それぞれの校長先生から話を伺ったのち、全学年の授業を見学しました。最終日は、宇久島の横に位置する寺島を歩いてめぐり、過疎の実態を肌で感じました。 調査を経て見えてきたのは、「少子化対策としての小中高一貫教育」の成果でした。小中高をまとめることによって、生徒が高校に進学する際の島外流出が食いとめられ、学校行事を一緒に開催することで、上級生と下級生につながりができています。さらに、「乗り入れ授業」や「出前授業」などが行われることで、離島でありながらも高度な教育が実践されています。こうした事実に加えて、「しま」の人々の明るさやあたたかさ、子どもたちの純粋さが印象的でした。 プログラムによって、私は視野を広げることができました。将来、教職をめざしている私にとって、この3日間は、とても貴重な経験になったと思います。離島で、小中高一貫教育の可能性を実感しました。教職をめざす私にとって、とても貴重な経験になりました。経済学部地域政策学科2年佐賀県伊万里高等学校出身秋武 美奈さん学生たちが「しま」で学んだ成果は、地域における人材育成や産業振興をとおして地域に還すとともに、地域と大学が連携して、地域の宝である「しま」を再生・創造していきます。しま体験教育プログラムLocal Experience Educational Program国際情報学部国際交流学科1年長崎県長崎北陽台高等学校出身浦川 佳絵さん 「しま」では、人口減少が大きな問題となっています。多くの人に「しま」を訪れてもらうにはどうすればいいか。その答えを見つけるのが研究のテーマでした。 フィールドワークを経て、「しま」の実態と魅力、課題が見えてきました。ポイントは、対馬には女性より男性が多く訪れているという事実。さらに、「日本国内の若者に来てほしい」という声が多かったことです。 そこで、私たちが提案したのが、「日本国内の若い女性にアピールする施策」です。たとえば、厳原地区に温泉施設をつくる。対馬の魚介類を使ったバイキング料理を提供する。対馬名物の「かすまき」や「はちみつ」を生かしたスウィーツを開発する。さらに、Facebookのページを立ち上げ、対馬の魅力を伝えていく……といったアイデアです。 今回、私はグループのリーダーを務めました。未熟さも痛感させられましたが、自分なりに最善は尽くせたと思います。フィールドワークは協調性を養う場。その点でも、今回の経験は私を成長させてくれました。来年度以降、「しま体験教育プログラム」に参加する学生には、ぜひリーダーに挑戦してほしいと思います。リーダーとしての経験が、自分を大きく成長させてくれました。フィールドワークは、協調性を養う場でもあります。03

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