公立諏訪東京理科大学 大学案内2023
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29AI研究方針の策定情報通信(5G)実装方法のプログラム検討実装情報技術成果まとめ論文発表水野 秀之 教授私の研究の一つに、機械電気工学科の来須研究室と共同で行っている「人工知能を用いた農薬候補の選抜」があります。来須研究室では、植物が出す活性酸素に着目した研究を行っています。活性酸素は、多すぎると植物が枯れる原因となりますが、適度に出る場合には免疫の活性につながります。そこで、AIに農薬として効果的な化合物の化学式と、化合物を植物にかけたときの活性酸素の生成量を学習させ、その結果から効果的な農薬を選抜します。その中で、「教師なし学習」という方法も用いました。「教師なし学習」は、大量のデータ(化学式など)を学習させることで、AI自ら知識を蓄え正解を導き出す方法です。効果のある実験結果の学習と、AI自らが学習した化合物の知識を組み合わせて精度を上げる狙いです。さらに効果を上げるため、今後化学式以外に何を学習させるべきかを課題に研究を進めています。もう一つの研究に「3次元モーションキャプチャを用いた歩行特徴の解析」があります。高齢者が要介護へと移行するケースの一つに、「転倒」が原因で寝たきりになってしまう場合があります。転倒の予防は介護予防につながるキーポイントです。そこで高齢者の転倒リスクの予測を目標に、歩幅や腕の振りなどの歩行特徴の抽出に関する基礎研究を、長野県工業技術総合センターと共同で行っています。現在、3次元的に人の動きや骨格を捉えることができるカメラを使って、必要となるデータを高い精度で取るための方法の検証を行っています。このほかにも、高齢者にとって聞き取りやすい音声の合成や、楽曲の自動採譜に向けたメロディや和音の抽出など、AIを用いた様々な研究を行っています。膨大な化合物大な化合物膨大の化学式の化学式事前学習事事前学習■基礎×AI 新農薬候補探索■基索候補探索基礎×AI 新農薬候植物の化合物に関する合物に関する反応量知識の獲得知識の獲得3次元モーションキャプチャを用いてリアルタイムで歩行の特徴を解析。研究では取得した歩行の特徴の正確性を検証しています。植物の植物の反応量反応量化合物の化学式学式化合物の化学式化合学式化合物の化学CH3CO[OCH2CH2]nOCOCH3CH2COCOCH2OHCH3CO2OHCOCH3CH2COCOCH2推定推定合物の化学[OCH2CH2]nO学習学習機械電気工学科来須研究室との共同研究大量の化合物の化学式をAIに事前に学習させ化合物に関する知識を獲得させた後、植物の反応量(活性酸素の量)を学習させます。その後化合物の化学式から植物の反応量を予測させ効果的な農薬を探索します。テーマ設定改良方法の検討実験・評価実証実験研究フローチャート関連論文の調査情報応用工学科研究者紹 介効率的な製品開発や高齢化社会の課題へ、AIでアプローチ。研究成果AIによる情報解析技術や次世代映像技術で、未来の暮らしを豊かにする、新技術の確立へ。

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