公立諏訪東京理科大学 大学案内2023
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30日々ディスカッションを行い、研究方針を決定し、データ分析を実施。関連文献の収集や、先端技術のキャッチアップに努めています。山口 一弘 准教授私の研究室では、「高臨場感を目指した次世代の立体映像表示システムの研究開発」をテーマに、ホログラフィに関する研究を行っています。ホログラフィとは、モノから発せられる光を完全に再現(記録)する技術で、次世代の立体映像表示技術として注目されています。このホログラフィをベースとした立体映像の作成、伝送、表示までのシステムを研究しており、ソフトウェア・ハードウェアの両面から、学生がチャレンジしたい研究テーマに取り組めるよう一緒に研究を進めています。例えば、映像の作成には、波動光学に基づく高度な数値計算を行う必要があり、計算アルゴリズムの考案、計算を支える計算システムの構築が課題です。さらに、ホログラフィベースの映像を届ける仕組み(伝送)も研究対象です。本学で今後展開予定のローカル5Gの活用など、高度な通信インフラに合わせたシステム開発も進めています。ホログラフィは将来的に、次世代テレビなどへの活用が期待されます。目標は、何もない空間中に立体映像が浮かび上がり、かつ見たい位置からの映像を自然に・自由に見ることのできるテレビの開発です。まだ基礎研究の段階であるホログラフィですが、国内外で次世代のテレビやコミュニケーションツール(3DTV会議)として研究開発が進んでいます。VRのような仮想空間が現実空間中に表現できる時代が来ると、面白いのではないかと考えます。研究室の学生は、データの収集、ビッグデータ分析、学会発表、論文発表を介して、研究の推進に積極的に貢献しています。ホログラフィを表示するための光学系機器(レンズ、レーザー、ミラーなど)。これらの設計も行います。石井 一夫 教授本研究室では、ICTを活用した少子高齢化、気候変動など社会的重要課題の解決を目標に研究を行っています。その一つに、医療ビッグデータを用いた生活習慣病患者のメンタルケア、デンタルケアの研究があります。レセプト(診療報酬明細書)情報や特定健診などの医療大規模データベースを分析し、がんや生活習慣病患者における、精神神経科疾患や歯科疾患の併発と病気の重症化の関係について研究しています。厚生労働省が収集している過去のレセプト情報を活用し、データベース構築、統計解析、機械学習、深層学習などを用いたデータ分析を行い、医療従事者の監修を受けながら研究を進めます。データを分析していくと、季節や住む地域、喫煙や飲酒などの生活習慣が、病気の要因としてどう関わっているかがわかります。研究では、さらにうつ病や歯周病などが、生活習慣病の重症化とどのように関わっているかを分析しています。メンタル、デンタルのケアが、生活習慣病のケアにつながる可能性があります。少子高齢化が進む現在、今後さらに多くの高齢者が生活習慣病を患うことになると、そこから寝たきりなどの要介護者も増え、医療や介護現場の圧迫、最終的には医療崩壊につながりかねません。それを防ぐためにどういうケアをし、健康寿命を延ばしていくか。その方法を確立することが、医療・介護現場の崩壊を防ぐ事につながります。北海道大学との共同研究で制作した実際の立体映像。1〜2cm程度の映像にも膨大な計算時間を要します。映像が浮かび上がるホログラフィ。次世代テレビの実現へ。医療ビッグデータの活用から、少子高齢化社会の健康寿命を考える。

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