公立諏訪東京理科大学 大学案内2023
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39星野 祐 教授私の研究室では、ロボットマニピュレータやパーソナルモビリティなど、モータで駆動される機械の制御、特に自由関節をもつ機械の運動制御の研究に取り組んでいます。数学・物理(力学)を使ってシステムの性質を解析した上で、その結果に基づいた制御手法を提案し、機械を思い通りに動かす・止めることを目的としています。研究対象の一つが、全方向に移動可能な球乗り型モビリティ。これは乗っている人が重心を傾けた方向へ移動するモビリティで、移動しながらも車体は水平を保ちます。従来の乗り物は、重心を下げて車体を安定させるために重く作る必要がありますが、このモビリティは車両の軽量化が可能で省エネにもつながります。もう一つの研究が、振動制御です。例えば、無人ドローンを使った輸送では、荷物の取り外しが容易で離着陸が難しい場所へも運搬が可能な、吊り下げでの輸送のニーズが多くあります。しかし、吊り下げた荷物の揺れを制御しながらドローンを飛ばすことは難しく、適切な対策を講じないと揺れに耐えられずに墜落してしまいます。この問題に対し、荷物の揺れを少なくする制御方法を地元企業と研究しています。シミュレーションなどの実験に成功し、今年度から実際のドローンを使った飛行実験へ移行します。今後は、画像認識による農作業支援の研究にも取り組む予定です。例えば、農作物の収穫支援ロボットを作ろうとすると、農作物の形や熟しているかを画像認識するために、膨大な情報処理が要求されます。そのような場面を含め、AIなどの情報技術を活用し、使う人や環境に合わせて社会で活躍する機械の開発を目指しています。重心を移動すると、地面と接した球体が動くことで進む球乗り型モビリティ。球乗りの要領で、機械がバランスを制御し車体の水平を保つことで、倒れずに進みます。航空機に使うフライトコントローラーを搭載した車両での吊り下げ物資の振動制御。吊り下げた物の揺れの低減を実験で確認します。ゼミ研究(3年次)卒業研究(4年次)研究フローチャート基礎スキルの訓練 機械力学 制御工学先行研究の調査・理解・再現 プログラミング 機械製図モビリティ・ロボット等の提案・設計数理モデル作成 モデルの導出 パラメータ同定再検討シミュレータ構築シミュレーション・制御系設計再検討再検討モビリティ・ロボット等の組立・電装性能評価再検討制御実験・性能評価論文執筆・投稿・発表(卒業論文)機械電気工学科研究者紹 介新しい移動・輸送技術を叶える、機械の運動制御の研究。「未来」の脱炭素社会の創造など、機械と電気の融合による最先端研究で様々な社会課題を解決する。

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