39実験スキル訓練 研究知識修得プラスチック材料先行研究の調査・理解・再現機械材料材料力学プログラミング再検討・リトライ特性評価と論理的考察試料の調製中間発表再検討・リトライ特性評価と論理的考察試料の調製実験データの論理的考察卒業論文執筆・発表内海 重宜 教授本研究室では、ナノカーボンや磁性材料の研究を行っています。ナノカーボンの研究では、運動エネルギーをカーボンナノチューブの捻りに貯蔵し、その貯蔵したエネルギーの再生利用を試みています。ゴムをくるくると回し、手を離すと走ったり飛んだりする、糸巻き車や飛行機をイメージしてみてください。これらはゴムの弾性に蓄えた運動エネルギーを利用しています。同じことを、カーボンナノチューブという新素材でやろうという研究です。カーボンナノチューブは直径が1nm(ナノメートル)ほどで、軽くて弾性があり、強度は鋼の数十倍もある素材です。カーボンナノチューブから成るロープ試料を作製し、専用の装置で捻り試験を行い、単位重量あたりに貯蔵されたエネルギー密度(重量エネルギー密度)という指標で評価します。理論的にはリチウムイオン電池の10倍以上の重量エネルギー密度の貯蔵が可能で、本研究室では、実験的に3倍の重量エネルギー密度を得ています。将来的には、人の歩行や四肢の運動エネルギーを貯蔵する、充電の要らないスマートフォンなども実現するかもしれません。最近では、カーボンナノチューブを捻る際に生じる摩擦熱も利用し、化学反応を起こす研究も行っています。これを応用すると、通常の化学反応を起こすために必要な電気エネルギーや耐圧容器を使わず、捻るという単純な操作だけで化学反応を起こすことが可能となります。磁性材料の研究では、世界最高品質の六方晶フェライト単結晶を育成する技術を基にした研究を行っています。六方晶フェライトとは、身近にある黒い磁石の主原料で、これに第三物質を加えることで発生する特殊な磁性について、その特性を解明しています。いずれの材料も、将来の技術革新につながると期待しています。モニタ左側の装置は電子顕微鏡。カーボンナノチューブをこの電子顕微鏡で観察し、撮影画像をモニタで確認します。捻り試験を行う装置に、カーボンナノチューブでできたロープ試料をセット。この試験で重量エネルギー密度を評価します。内海研究室学生の研究フローチャートゼミ研究1・2(3年次)卒業研究(4年次)関連研究や文献の調査未来のテクノロジーと社会を支える、革新的な新素材の研究と開発。機械電気工学科研究者紹 介「未来」の脱炭素社会の創造など、機械と電気の融合による最先端研究で様々な社会課題を解決する。
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