TechTech~テクテク~No.27
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幅広く吸収し研ぎ澄まされたアウトプットへ まったく新しいものを生み出すために、幅広い分野の新技術に目を配り、アートなど異分野とのコラボレーションも積極的に行ってきた。 「アーティストの発想はやっぱりすごい。私はそれを実現することで応えるわけです。異分野の方とのコラボはとても刺激になります。学内でも生命系や材料系など、いろんなテーマがありますから、これからも協力の可能性を探っていきたいですね」 時代と共に、コンピュータの姿と役目は変わり続けていく。人間同士のコミュニケーションなら、見てほしいものがあればその方向を指差すなどして、わざわざキーボードなどは使わない。コンピュータの認識力を上げ、人の音声や動作をより正確にキャッチできるようにすれば、人間とコンピュータの間でもより柔軟なコミュニケーションができるようになるだろう。小池教授が現在並行して進める研究テーマである人間の視線による入力方法を使えば、そう遠くない未来に人間が見ている場所をコンピュータが把握し、そのとき必要とされる情報を表示するといったやりとりが実現できるかもしれない。 「これは私見ですが、コンピュータはいずれ人間の身体の各部位の機能を強化したり、ハンデを補ったりするものにも進化していくと思います」 新しい社会の様相を期待させるコンピュータ・サイエンスの世界。小池教授がどう追究していくかに注目だ。「物体の実時間追跡と実時間投影」が研究テーマ。投げた物体をカメラで捉え、映像を投影します。投影したい物体が動く軌跡を計算で予測するのがポイントで、発泡ビーズなどを使った3次元ディスプレイに応用できたらと思っています。左/船越 稜平(ふなこし・りょうへい)工学部 情報工学科 4年ボールに複数のカメラを入れ、一定方向の画像だけを抽出したり、360度の動画をつくる研究をしています。この研究室では、プログラム設計はもちろん、実際にデバイスを自分でつくることもセット。ものつくりの部分も面白いです。小池研究室では、コンピュータの作動記録(ログ)などのデータを、わかりやすく図式化することでセキュリティ管理などに活かす、「情報の視覚化」の研究も行っている。膨大なログの中から、全体の0.01%以下に過ぎない不正侵入の痕跡を探し出すのは難しい。そこで、イレギュラーの発生箇所を図や色で見やすく示し、人間の感覚の中でも大きな役割を果たす「視覚」によって問題の所在を素早く直感的に把握できるようにしている。右/宮藤 詩緒(みやふじ・しお)工学部 情報工学科 4年セキュリティ人間が指をはじく動作を「」から「」への変化として認識。「PAC PAC」では、手の付け根と円の中心の2点を検知し、2点を結んだ直線上に弾を発射する仕組みだ2015 Spring5

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