日本の公的組織の会計・予算制度を、イギリスやオーストラリアのそれと比較分析しています。この研究は、東京都から支援を受ける「高度研究」に採択されたことが本格化の契機となりました。 発端は、東京都が2006年度に導入した「新公会計制度」です。これは従来の現金主義の決算書とは別に、発生主義の財務諸表を作成するものですが、これと予算制度を整合化することにより、将来予測も取り入れた、より効率的な資源配分を実現できる可能性があります。逼迫する財政状態にあっても、最重要課題に重点的に予算を充てることができ、有意義な資源配分が期待できるほか、他のアジア諸国に“輸出”することも期待できます。 現状、現金主義の決算書と発生主義の財務諸表は直接比較できず、財務諸表の結果を来年度の予算に結び付けることができません。そこで、予算書を発生主義に準拠して作成しているイギリス・オーストラリアの制度を分析し、決算書と財務諸表の整合性の効果を分析しようというわけです。オリンピックイヤーを目途に結果が得られるよう、現在、先行研究の検討と問題点の整理を進めています。効率的な予算配分が期待できる「新公会計制度」の質的向上に挑む東京都から支援を受ける「高度研究」採択を契機にCASE 3#地方財政#国際制度比較#会計制度改革「新公会計制度」の質的向上に向けた研究地方自治体が採用する現金主義会計に、将来予測を取り入れた発生主義会計を加えた「新公会計制度」の質的向上を図るため、発生主義と整合的な予算制度を導入しているイギリス・オーストラリアの制度との比較分析を実施しています。年度単位で現金収支を記録する決算書将来予測を取り入れた財務諸表現金主義会計発生主義会計地方自治体の一般的な会計新公会計制度■東京都の「高度研究」採択■予算・決算の整合性の効果を検証中イギリス・オーストラリアの会計制度との比較分析特集1研究・プロジェクト紹介経済経営学部 野口 昌良 教授TMU #RESEARCH&ACTION008Tokyo Metropolitan University GUIDE BOOK 2020
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