東京都立大学(現首都大学東京) 大学案内2020
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 この研究室では、電気抵抗がゼロになる超伝導体をつくり、その物性を解明しています。化学の手法を用いて合成した物質が超伝導現象を発現したら、その物性を物理学の領域で明らかにします。また、すでにある超伝導体のメカニズムを解明することも研究テーマとしています。既存の超伝導体がメカニズムまで明らかにされているとは限らず、例えば6年前に私が発見した超伝導体に対して、今も世界中の研究者が機構解明に取り組んでいます。新たな超伝導の原理が明らかになれば、その成果自体も大きな発見になります。 マイナス269度という超低温下で初めて超伝導体が発見されたのは、約100年前。その後の研究は、より高い温度で超伝導現象を起こす物質を発見することへの挑戦であり、私たちもその渦中にいます。通常の気圧と常温で機能する超伝導体が発見できれば、電気を使う全ての技術や機器を一変させ、省エネルギーや省資源などの環境効果も計り知れません。かつて科学の夢物語として語られたテーマですが、実現可能な研究目標として私たちは取り組んでいます。電気を使う全ての場面を一変する超伝導体の発見と物性解明に挑む化学的に新物質を合成し物理学的にメカニズムを解明CASE 4#超伝導#省資源#省エネルギー理学部 水口 佳一 准教授化学と物理学を融合した研究化学と物理学が連携した単体の研究室は世界でも希少。海外ではその特色にも関心が注がれ、研究室の個性として今後より強調していく方針です。研究室紹介超伝導物質研究室新物質をつくる研究はアイデア勝負です。想像力を働かせ、分子や原子の構造を操作した結果は、“やってみなければ分からない”ことが多い一方、アイデア次第では新たな機能性物質を学生が世界に先駆けて発見するケースもある分野です。新たな機能性物質の発見はアイデア勝負学生の研究も世界での競争に加われる*1 超伝導体と類似の構造を持つ 熱電材料も研究対象とする*2 実用化への橋渡しをする 材料工学分野での対応も可能超伝導体を工業化(線材化)するプロセスの開発超伝導体の発見超伝導の原理解明熱電材料*1の発見化学物質の合成物理学物性の解明材料工学*2009特集1/研究・プロジェクト紹介

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