今の私へ続く道の出発点は、高校時代にバレーボール部のマネージャーを務めた時に得た2つの経験にあります。一つは選手が練習の成果を発揮してコート上で喜んでいる姿を見た時、サポート役として自身もこの上ない達成感を得られたこと。もう一つは、当時全日本や実業団のチームに導入されていたITを活用した「システムバレー」に、ゲーム理論が応用されていると知ったことです。 ゲーム理論は、どの行動が自分や相手にとって最も利得が高くなるか考える学問です。高校時代、経済や数学への関心が高かったため、大学でゲーム理論を学び、その知見を生かして人をサポートしながら何かを教える仕事をしたいと考えるようになりました。 首都大を選んだのは学修環境や学生の雰囲気の良さもさることながら、ゲーム理論を深く学びたかったことも大きな理由で、3年次には念願のゲーム理論のゼミを履修しました。多様なテーマを扱う中、理論への理解は当然ですが、最大の収穫はプレゼンテーション力を得たことでした。具体的には、最も説得力のある数字を集めた資料を準備する、結論を最初に提示し聞き手に理解してもらいやすい構成を心掛ける、重要なポイントを喋る際、ゆっくり話したり抑揚をつけたりするなどメリハリを利かせてインパクトを与える―、これらはすべて今の仕事に生かされています。 現在は自動車販売会社(カーディーラー)を担当する営業部門で、埼玉県内の4社を担当しています。入社後の3年間で最も苦労したのは、カーディーラーの新入社員を対象にした研修でした。いかに自動車保険の重要性や商品知識、提案の手法を理解していただくか。上司、先輩のアドバイスはありますが、基本的には自分一人で進めるのが弊社のスタイルです。経験が浅い当初は、悩み、試行錯誤の繰り返しでしたが、ゼミで身につけたプレゼン力を生かしながら、少しずつ新入社員の成長を後押しでき、自分自身もスキルを向上させることができました。 誰かの挑戦や安心をサポートする損害保険ビジネス。高校生の頃は漠然としていたイメージは、首都大での学びを経て、社会での仕事として結実しています。東京海上日動火災保険株式会社/埼玉自動車営業第一部 営業第二課国公私立を問わず多数の大学を見て歩き、広いキャンパスの環境と雰囲気に惹かれ首都大に入学。ゼミで鍛えられた複雑な理論を分かりやすくプレゼンする力は、現在、研修の講師を務める際の講演や資料作成に役立っている。Prole蓜島 千尋 さん旧 都市教養学部 都市教養学科経営学系 経営学コース(現 経済経営学部 経済経営学科 経営学コース)2015年3月 卒業ゲーム理論という学びを求め、首都大で追究。最大の収穫だったプレゼン力は、顧客の成長を後押しし、自身の進化につながる。首大の顧Report03017特集1/卒業生インタビュー
元のページ ../index.html#19