2018年9月、国際水協会(IWA)世界会議・展示会が東京で開かれ、都市水道に関わる行政担当者や研究者、水関連の事業を展開する企業の担当者など約1万人が98ヵ国から集いました。この国際イベントの開催に向け、企画段階から中心となって動いたのが、私が所属する総務部の内部チームです。私も準備・実施にかかる収支管理や決算に関わり、国際会議ならではの華やいだ開会式に初めて参加しました。 総務部は水道局の管理部門であり、約150名の職員が働いています。そこで担当する私の仕事は、企業でいう経理に当たります。IWA会議のような大規模なイベント開催から、文房具や事務用品の購入まで、金額を問わず総務部の業務で発生する全ての支出及び収入を管理しています。部内のさまざまな課から突然の支出を求められることも多く、その都度、財源は水道料金であることを念頭に、支出の意義や効果を十分に検討の上、水道局の財政を預かる主計課に予算を要求します。どの部署も、自らの事業が重要であると強調するのは当然のこと。それらを限られた予算と時間を有効活用して実行に移すため、都民への優先度を判断規準として部署間を調整するのも私の仕事です。 このような仕事に就いて思い出したのは、在学中に参加した「プロジェクト型総合研究」でした。2年生と3年生の混成チームにより課題解決に取り組むこの授業では、調査・立案・提言の過程で起こる意見の食い違いを調整し、チームとして一つの結論を導く能力が鍛えられます。また政策立案に際しては数字で表せるデータに加え、関わる人の立場や思いも取り込むよう心掛けました。首都大でのこうした経験が現在、立場が異なる部署間の調整や、定量化されたデータだけに拠らず都民のパブリックコメントなども考慮する判断の礎になっていると思います。 着任当初は、平常の業務でさえ五里霧中でしたが、先輩に助けられながら一つずつ仕事に取り組み、今では首都大で培った私なりの能力を発揮できる場面が増えてきたことを実感しています。まずは基幹ライフラインである水道事業を総体として理解することに努め、将来は都政を大枠で捉えた政策立案に関わることが私の目標です。もちろん、どのような部署に配属されても、常に都民の声に耳を傾け、都民目線で業務に取り組むことが東京都職員としての務めであると考えています。生活基盤を支える仕事を、現場に近いところでしたいと考え、東京都水道局への配属を希望。人事課での半年の業務を経て、水道局品川営業所に配属。検針業務などを通して地域住民と接した。現場業務を1年半務めた後、2017年4月に現部署に異動。Prole八嶋 伸海 さん東京都水道局/総務部総務課 主事現場に近いところで、生活基盤を支えるため、基幹ライフラインを支える水道事業に。組織間の折衝と調整、施策実施の予算要求まで、都民の声を常に意識しながら、いつかは、都政を大枠で捉えた政策立案に関わることが目標。組織都民の旧 都市教養学部 都市教養学科都市政策コース(現 都市環境学部 都市政策科学科)2015年3月 卒業Report05019特集1/卒業生インタビュー
元のページ ../index.html#21