東京都立大学(旧首都大学東京) 大学案内 2022
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 「東京都防災アプリ」のコンテンツの企画・制作や運用を担当しています。このアプリは、防災への啓発を目的として都が発行する防災ブック『東京防災』『東京くらし防災』の内容をスマートフォンで手軽に活用できるよう制作したもの。主に若い世代に向けて、防災に関する知識の普及や意識の高まりを目的としています。 私が担当してからは、「あそぶ」「まなぶ」「つかう」というコンセプトに沿って、防災に関するゲームやクイズ、マンガなどのコンテンツを加えることで利用の拡大を目指しています。防災への関心が薄い方々にも防災を身近に感じてもらうため、人気作家とのコラボ企画の実施やデザインの統一により視認性の向上を図りました。着任するまでスマホのアプリを制作した経験がなかったため、複数の人気アプリを実際に利用し、それらの魅力や使い勝手を自分なりに分析しました。遊びながら学べる仕掛けやデザインの統一は、その結果から導いたアイディアです。運用に当たっては、手探りな面もありましたが、ダウンロード数も増え、自治体のアプリとしては好評をいただいています。 楽しみながら活用できるアプリを目指す一方で、伝える内容は命に関わる防災の知識です。多様な自然災害により異なる防災対策について、誤解や勘違いを招く表現がないよう所管の部署と慎重に調整を重ね、制作会社と協働して一つひとつのコンテンツを充実させました。2020年には、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。大会開催に伴い、増加する外国人の移住者や観光客に向けた多言語化も進めています。 防災に興味を持ったのは、高校2年生の時に経験した東日本大震災がきっかけです。地理を専門的に学び、地形と被害との関係を明らかにしたいと考えました。在学中は鬼怒川流域の地形調査に基づく卒業研究を学会発表するという貴重な経験もできました。そこで得た知識・経験を活かし、防災意識を広めたいと考え、公務員の道を選択しました。 東京都の防災は、首都直下地震への対策を行っています。加えて、現在は大型台風による風水害など、早めの対策で被害を軽減することができる災害も顕著になっています。普段防災に関心を持たない方に、いかに防災の重要性を伝えるかは、これからも続く私の課題です。東日本大震災を故郷の栃木県で経験。道一本をはさむだけで異なる被害の差に疑問を感じるとともに防災の重要性を実感し、地理を学ぶ。東京都庁では八丈島での福祉業務を経て、入庁3年目に防災に関わる現職に就く。Prole塩谷 純佳 さん東京都庁/総務局 総合防災部 防災管理課幅広い世代の都民に向け、スマートフォンを活用し災害への知識を広め住民の防災アクションにつなげる。幅マー住都市環境学部 都市環境学科地理環境コース(現 都市環境学部 地理環境学科)2015年度卒業生Report05019特集1/卒業生インタビュー

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