東京都立大学(旧首都大学東京) 大学案内 2022
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 ICT企業のUI/UXデザイナーとして働いています。UIはユーザーインターフェイス、UXはユーザーエクスペリエンスの略であり、前者は製品やサービスの利用者にとっての使い勝手、後者はUIを含め、製品を利用した時のトータルな体験としての満足感を、それぞれ拠りどころとします。消費者が「使ってみたい」や「欲しい」と直感し、実際に利用してみて「もっと使いたい」と思えるようなデザインを目指しています。 現在は、主に一般コンシューマーに向けた電子ペーパーのデザインを担当しています。紙のノートを使うように、画面に専用ペンで文字や図を書くとデータとして保存され、コンピュータ上でも活用できる商品です。 電子ペーパーは発売済みの商品ですが、これとは別に、まだ市場に出ていない研究段階の製品の開発や、新規ビジネスの構築にも並行して取り組んでいます。開発にあたっては、企画、エンジニアリング、プロモーションなどの担当者が集い、それぞれの部門の立場で意見交換をします。私もUI/UXデザイナーとして、初期段階からメンバーに加わりますが、他の専門性と関わるからこそ生まれるアイディアもあり、異なる専門家が集って開発する面白さを感じています。そしてその感覚は、学生時代に経験したことのある感覚でした。 インダストリアルアートコース(現インダストリアルアート学科)の1・2年次は、グラフィックやエンジニアリング、建築や電子工作、Web制作など、幅広く様々な分野で企画から制作、そしてプレゼンテーションまでを一通り経験します。どれも未経験なことばかりですから、発明に等しく知恵を絞る必要がありました。また、大学院では機械工学を学ぶ学生とインダストリアルデザインの学生が手を組み、半年をかけてプロトタイプを作り上げるプロジェクト型の授業があり、興味や志向はもちろん、課題に対する切り口や発想が異なる者同士の考えを交錯させる、発明の経験といえます。社会に出る前にそうした学びをできたことが、今の仕事の礎となっていることは間違いありません。 担当する電子ペーパーは、商品に対する反響を参考にしつつアップデートを重ねています。その時に考えるのは、電子ペーパーによって満たすことができるかもしれないユーザーの隠れた欲求です。より速く移動したいという人間の願いが、馬車の時代を終わらせて自動車を作り上げたように、一つの製品やサービスがそれまでと全く異なる世の中を開き、いずれそれらが当たり前のものとして社会に定着していく、そんなデザインをしたいと考えています。富士通 株式会社/デザインセンター プロダクトデザイン部特集1卒業生インタビュー物理学と絵への興味から、物理の原理に基づき使いやすさを追求するプロダクトデザインを志して入学。新しい体験を設計する、より広義のデザインを求め、大学院を経て現職に就く。Prole南澤 沙良 さんいつか世の中で当たり前とされる時代を超えて社会に定着するような製品をデザインし、ユーザーの根源的な願いと欲求を満たしたい。い代をユTMU #RESEARCH&ACTIONReport06システムデザイン研究科 システムデザイン専攻インダストリアルアート学域 博士前期課程2016年度修了生020Tokyo Metropolitan University GUIDE BOOK 2022

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