東京都立大学(旧首都大学東京) 大学案内 2022
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都立大生のインタビューは、ホームページにも掲載しています。アクセスはコチラから都立大生のリアルボイスProfileProfile心理学における測定・実験法を体験的に学び、卒業論文に生かす音韻論的な英語の考察を通して日常現象への観察・分析力を修得人間の知覚や認識を実証する多様な手法を学ぶ 「人間らしさ」を、実証されたエビデンス(根拠)に基づき理解する学問が実験心理学です。人間の知覚・認知・運動系のメカニズムを客観性の高い根拠によって明らかにします。根拠の客観性を保証するのは測定や実験であり、人間の知覚・認知・運動システムの機能について、どのような方法によりその特徴を見い出すかが重要です。そのため本演習では研究論文を読み、そこで用いられる測定法、刺激の与え方、実験装置の使い方などを学ぶとともに、それらの方法により人間のどのような特徴を心理学の領域で解明したのかを理解します。 さらに、論文で紹介された測定や実験を実際に試みることで、それらを体験的に学びます。学生が実験者となり実証作業の効率的な進め方を身に付ける一方、被実験者にもなって精神的・身体的負担を体験して、他の専門科目や卒業論文に生かせるようにすることが重要な目的です。 理論的研究と実験を学びの二本柱とする言語科学教室にあって、本科目は前者に位置付けられ、「音韻論Ⅰ」は日本語の、「音韻論Ⅱ」は英語の音韻について、それぞれの特徴を学びます。 「音韻論Ⅱ」の授業では、言語学の音韻論についての概念や原理の基本を確認した上で、英語を中心とした言語の音韻現象を学生が見つけ出すことから着手します。これは日常の話し言葉で数多く観察できる音韻現象に、まずは気づき、さらにその原理や法則を明らかにする研究方法を身に付けるためです。 本授業は、話し言葉など普段当たり前としているものや、身の回りで起きている現象を観察・分析する練習になります。テキストの詳しい読み解きを繰り返すことで、文章の読解力や構成力を向上させ、言語学に限らず卒業論文の執筆を支える基礎力の養成につながるよう、指導を心掛けています。 4年次に履修する専門科目や卒業論文で必要となる、心理学の測定法や実験法を学びました。例えば左右が反転して見える眼鏡を使った実験では、それをかけた途端、文字すら書けなくなることを体験し、文字を書くという行為と視覚との関連を考察しました。様々な測定や実験は、論文を読んだ上で体験できるため、研究での理解が深まると同時に、測定・実験の技術も身に付きます。 私が関心を持つのは、聴覚と空間認識との関連性や、それらの行動への影響についてです。この研究を卒業論文としてまとめるまでには、壁に突き当たることがあるかもしれません。そのような状況に直面した時は演習で学んだことを思い出し、さまざまな角度から対象に迫ってみることで突破口を見い出せるのではないかと考えています。都市教養学部 都市教養学科人文・社会系 心理学・教育学コース 4年埼玉県立 浦和高等学校 出身都市教養学部 都市教養学科人文・社会系 心理学・教育学コース 4年東京都立 小松川高等学校 出身鈴木 智弥 さん本間 綾乃 さんNOTICE聴覚と空間認識の関連性とそれが 行動に与える影響について探求したいNOTICE国語の教員として教壇に立つ際教科書を超えた指導に役立てたいアクセントや子音の組み合わせの法則性を理解 卒業後に国語の教員になることを目指しているため、入学時から言葉に対する関心は高く、言語学についても在学中に学んでおこうと考えました。 授業では、言語学の一分野である音韻論の基礎を学びます。高校までは“そういうもの”として教えられ覚えてきた英語のアクセントがどのように決められたかや、子音の組み合わせについて法則性があることを理解し、すでに知っている英単語を検証する視点で見直しました。英語で書かれたものを含め論文を読むことが多い授業ですが、そこに述べられている学術的な考察を理解するだけでなく、先生独自の見解も加えられます。そのため、音韻に関するある現象に対して、多様な論点や考察が可能であることが分かるので、卒業論文は自分なりに考え抜いた形で書きあげたいと考えています。演習 Pick up実験心理学演習(3年次)/石原 正規 准教授授業 Pick up音韻論Ⅱ(3年次)/本間 猛 教授※学生の所属・年次等は2020年度時、内容は履修時のものです。045人文社会学部

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