東京都立大学 健康福祉学部 2023
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(2022年度現在)作業療法学科伊藤 祐子教授専門は発達障害作業療法学、医療・福祉工学。心身に障害がある子どもの発達支援と、成長後の地域生活を見越した支援のための学問領域であり、感覚統合理論や特別支援教育の作業療法、生活支援機器開発、家族支援なども含まれる。伊藤:都立大の作業療法学科は、作業療法士の養成課程として国内で3番目に設立された都立の教育機関が始まりです。それが1969年ですので、とても歴史のある学科なんです。宮本:現在は総合大学の強みを活かして、1年次には幅広い教養を身につけ、2年次以降に専門的な勉強に取り組みます。学部学科や学年を越えた交流によって学習効果を高めるなど、工夫を凝らしたカリキュラムや学習スタイルに特徴がありますが、2人はどのような思いを胸に入学したのですか?田所:私は高齢者施設でのボランティア経験から、福祉分野に興味を持って入学しました。難解な医療系の科目もありましたが、作業療法士独特の視点で患者さんに接する点にやりがいを感じますし、仲間と教え合いながら理解を深め、自分の可能性を切り拓いていける感覚があります。2・3年次の学生が一緒に受講する演習授業では、後輩にわかりやすく説明できるようになった自負もあります。正確に理解できていないと教えられませんので、大きな自信になっています。田形:私は出産・育児後も働き続けるためには専門資格が役に立つと考え、人を支える作業療法士に興味を持ちました。また、美術や手芸など、自分の好きなことを活かせる可能性も感じたのが作業療法でした。入学後は、対話や観察によって患者さんに必要な支援策を探る練習を重ねて視野が広がり、日常生活やアルバイト先などでも対応力が向上した実感があります。グループワークでも、相手が何に困り、どう対処すべきかを考える習慣ができた点に成長を感じています。日本の作業療法を支えてきた伝統ある学科東京都立大学の作業療法学科は、東京都にある国公立大学で唯一の作業療法学科です。その独自の魅力について、学生と教員に語り合ってもらいました。作業療法学科宮本 礼子准教授専門は脳機能解析学、高次脳機能障害学、認知作業療法学、脳機能障害支援学など。学生の意見に基づく動画制作課題の考案など、学生が主体的に学べる取り組みにより、2020年に「第1回東京都立大学ベストティーチングアワード」を受賞した。作業療法学科田所 花梨さん・入学試験種:一般推薦・出身高校:東京都立上野高等学校・今後に向けて: 高齢領域や発達領域など、現時点では興味のある領域ばかりのため、臨地実習をとおして自分の適性を見きわめていきたいです。田形:コロナ禍では不安もありましたが、SNSやZoomなどで同期と交流できたことが救いでした。人を支える仕事に就くという目標を持った思いやりのある学生ばかりで、なおかつ少人数の学科で一体感があるので心強かったですね。田所:入学当初はオンライン授業ばかりで戸惑いもありましたね。ただ、その分、時間を有効活用できるので、何事もポジティブに捉えて行動するよう心掛けました。宮本:逆境でも柔軟に視点を変えて物事に取り組む姿勢は、将来患者さんを支援する際にも役立ちますね。伊藤:たくましく、しなやかに行動できる学生がいる一方で、不安を抱える学生もいるものですが、仲間の存在を力に変えて成長してくれることが何よりの喜びです。そして2人は、そろそろ就職活動の準備に取りかかる時期だと思いますが、実務経験を積むことで新たな目標ができることもあれば、例えば脳機能などを専門的に学ぶために大学院に進む選択肢もあります。学生1人ひとりの興味関心に応えられる多彩な教員陣も本学科の強みですので、まずは直感を信じて、心のおもむくままに卒業後を思い描いてほしいと思います。宮本:将来に向けては、現場で働く自分をどれだけ具体的にイメージできるかがポイントですね。イメージするには知識や経験も必要ですが、例えば実習で発達領域に特化した経験を積めるのも本学科の特徴です。また、医療・福祉分野以外の選択肢もありますので、今後は総合大学のメリットを活かしたキャリア支援も充実させていきます。コロナ禍でもたくましく成長する学生たち作業療法学科田形 真弥子さん・入学試験種:一般選抜後期日程・出身高校:頌栄女子学院高等学校・今後に向けて: 将来的には精神領域に特化した作業療法に興味がありますが、まずは医療機関で幅広く経験を積みたいと考えています。14作業療法学科生 座談会[学生×教員 座談会]作業療法学科の魅力とは?

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