東北大学広報誌 まなびの杜 No.78
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まなびの杜 78号|09 東北大学医学祭は、地域の皆様と医学部生との交流の場として一九五〇年より約三年に一度開催されてきた伝統あるイベントです。二〇一六年十月九日・十日に東北大学星陵キャンパスにて第二十三回東北大学医学祭を開催いたしました。 本医学祭では「医親伝心」をテーマに定めました。これには、「医学に親しんでいただけるように」「心を通わせられるように」という思いを込めています。 私たち学生で組織した実行委員会が、このテーマの実現へ強く意識したことは、対象年齢層です。今までの医学祭は大人向けの企画に偏りがちでしたので、今回はご家族でお越しいただけるように、あらゆる世代に向けた企画をまんべんなくご用意することを心がけました。特に子供向けの企画に力を入れ、ぬいぐるみで〝おいしゃさんごっこ〞を行う「ぬいぐるみびょういん」や、体の構造をパズルで学べる「人体模型組み立て」、仙台市消防局の御協力の下、救急車の中が見学できる「救急車に乗ってみよう!」など、大幅に充実させました。一方で、学生向けには体育館にステージを設営しサークルの発表の場を設けたり、高齢の方向けとしては市民公開講座で認知症の講座をご用意するなど、老若男女幅広い方にお楽しみいただける医学祭になったと自負しております。 また、毎回好評の特別講演会には、三名の先生をお迎えしました。順天堂大学心臓血管外科教授で、天皇陛下の執刀医も務められた天野篤先生には、「教科書を書く医師から、教科書に載る医師へ」という題で、心臓血管外科医としての心構えや医師を目指す方へのメッセージをお話しいただきました。身が引き締まる思いで聴いていた医学生も多かったことと思います。りんくう総合医療センター周産期センター産科医療センター長兼産婦人科部長の荻田和秀先生は、漫画『コウノドリ』のモデルとなった先生で、メディアリテラシーの話から『コウノドリ』の裏話までお話しいただきました。テレビやインターネットが普及する今だからこそ、根拠を探し正しい情報を選び取ることが大切だということを再認識することが出来ました。国境なき医師団日本元会長の臼井律郎先生には、エボラ出血熱への対応など国境なき医師団の活動についてご説明いただきました。終了後は医師団への入り方など質問が相次ぎ、活発な質疑応答が行われました。 今回、前回を大幅に上回る四千人超の来場者を迎え、たくさんの方との出会いがありました。幅広い世代の方とお話しすることは発見の連続でしたし、日々の勉強不足を痛感する場面もありました。しかし、どんな時も「頑張ってね」などの温かい言葉をかけていただき、たくさんの方に支えられて私たちの学生生活が成り立っているのだと再認識することができました。今回の貴重な経験を生かして、スタッフ一同、よい医療者となれるよう、今後も勉学に励んでまいります。 医学祭はこれからも続きます。次回の医学祭は三年後に開催予定です。ぜひ今後も変わらぬ応援の程何卒よろしくお願いいたします。StudentReport第二十三回東北大学医学祭の開催「医親伝心」をテーマに四千人集客中尾 茉実第23回東北大学医学祭実行委員長東北大学医学部医学科五年
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