東北大学広報誌 まなびの杜 No.78
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まなびの杜 78号|05 近年、加速的に国際化が進み、社会はより多様化、複雑化しています。東北大学では、このような日進月歩の国際社会をリードする、指導的人材の育成に取り組んで来ました。二〇〇九年の国際化拠点整備事業(通称:グローバル30)を皮切りに、文部科学省主導の大学国際化推進大型プロジェクトに継続して採択されてきています。これらの後押しもあり、ここ数年で東北大学の教育の国際化は大きく前進しました。 現在、東北大学では九〇カ国以上の国から約二二〇〇人の留学生を受け入れています。留学生の増加率は国立大学の中でも高く、これまで力を注いできた英語のみで学位が取得できるコース(学部・大学院)の整備や、留学生のニーズに合わせて開発した特色ある交換留学プログラムが評価されてきたのでしょう。 留学生においては、人数のみならず、ニーズも変化してきているので、彼らが学習や研究に打ち込めるよう学内の環境整備も進めています。留学生と日本人学生が相互理解を通じて研鑽を図る「国際共修授業」の開発や国際混住寮の建設、学内の国際交流活動支援など、世界に開かれた知の拠点として、グローバルで活気あるキャンパスづくりに努めています。 海外の留学生の教育・支援及び日本人学生の海外留学を含むグローバル人材育成を担うグローバルラーニングセンターでは、学生の関心や財政事情に合わせたプログラムを多数提供しています。数週間の言語・文化研修から三年間の長期にわたる留学まで、二〇〇を超える世界各国のトップ校に年間約五〇〇人の学生を派遣しています。また、留学アドバイジング、危機管理セミナーや奨学金取得支援、留学中や帰国後のサポートなど、学生に寄り添った様々な支援も提供しています。また、留学経験者をグローバル・キャンパス・サポーターとして活用し、後輩への助言をはじめとする留学啓発活動を奨励しています。 また、国際社会で活躍するグローバル人材に欠かせない知識や資質を、指定科目の履修、課外学習、海外留学などを通じて身に着ける東北大学グローバルリーダー育成プログラムは今年四年目を迎えました。このプログラムには、学部生の四人に一人が登録しています。「国際教養力」、「語学・コミュニケーション力」、「行動力」、「海外研鑽」の四つの領域でバランスよく学習経験を積んだ学生は、「グローバルリーダー」として認定され、総長から直々に認定証を授与されます。 ここ数年は、産業界や地域社会とも連携し、グローバルキャリアセミナーや課題解決型の協働プロジェクトを国際共修授業として実施するなど、新しい取り組みにも挑戦しています。また、東北大学の国際広報とタイアップし、本学の国際化の取り組みを、世界に向けて広く情報発信することで、国際ネットワークの構築や本学の国際プレゼンスの向上にも貢献したいと思っています。 大学教育の国際化は、文部科学省主導の施策が契機となり加速してきました。本学はこの動向に対応しながら、今後も取り組みを発展させ、グローバル人材育成、優秀な留学生の招聘、教育・支援の国際化、を有機的に結び付けながら、世界に誇れる大学であり続けたいと思っています。学内外組織との連携()今後の展望()多彩な留学プログラムとグローバルな人材育成()国際的なキャンパス()シリーズ4東北大学のグローバル化末松 和子(すえまつ かずこ)現職/東北大学高度教養教育   ・学生支援機構   グローバルラーニングセンター 教授関連ホームページ/http://www.insc.tohoku.ac.jp/japanese/写真上)国際共修授業風景留学生と日本人学生が授業内で活発に討論写真下)国際的なキャンパス留学生と日本人学生が国際交流イベントを協働企画末松 和子◎文text by Kazuko Suematsuキャンパスの国際化とグローバル人材育成

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