東北大学広報誌 まなびの杜 No.78
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まなびの杜 78号|07最新の研究ラインナップ第14回産学官連携功労者表彰において、国際集積エレクトロニクス研究開発センター センター長&工学研究科・遠藤哲郎教授が「内閣総理大臣賞」、金属材料研究所の牧野彰宏教授、梅原潤一特任教授、未来科学技術共同研究センター・野村剛特任教授が「文部科学大臣賞」を受賞流体科学研究所・上原聡司助教が2015年度日本混相流学会萌芽賞を受賞電気通信研究所・大野英男教授が江崎玲於奈賞を受賞災害科学国際研究所・今村文彦所長が防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞理学研究科・高柳栄子助教が日本地質学会小藤文次郎賞を受賞08/2608/2909/0809/1309/26遺伝性不妊の宿主に感染細菌が卵を復活―その仕組みをショウジョウバエで解明―本学大学院生命科学研究科の山元大輔教授、大手学研究員らは、生殖幹細胞がなくなり卵細胞が失われて雌が不妊になるショウジョウバエ突然変異体を宿主に用い、ボルバキア菌が感染することで生殖幹細胞が復活する仕組みを明らかにしました。ボルバキア菌は、新奇タンパク質[TomO(友)と命名]を分泌し、宿主の遺伝子のメッセンジャーRNAに働きかけて幹細胞維持因子、Nanosタンパク質を増やすことにより、生殖幹細胞を変異体に復活させるのです。この成果は、細菌による宿主操作の機構解明の第一歩となり、妊性制御への新しいアプローチを提供します。本研究成果は、Cell Press(USA)発行の科学誌 Current Biology オンライン版で発表されました。032016/08/05東北地方太平洋沖地震後に加速したプレート沈み込み―首都圏地震活動の活発化の原因を推定―本学大学院理学研究科の内田直希准教授と長谷川昭名誉教授、防災科学技術研究所の浅野陽一主任研究員らの研究グループは、2011年の東北地方太平洋沖地震後の、首都圏での地震頻発の原因解明に挑戦。関東地方下の3枚のプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレートおよび陸のプレート)の境界面で繰り返す地震による、地下プレートの動きの時間変化を調べました。その結果、関東地方下では2011年の東北地方地震後、地震が発生したプレートの沈み込みが加速していることを突き止めました。この沈み込みの加速が首都圏に地震数の増加をもたらす原因の1つと考えられます。この研究結果は、アメリカ地球物理学会 Geophysical Research Letters に発表され、ハイライト論文に選ばれました。072016/09/16植物ホルモンのオーキシンを運ぶタンパク質がつくるキュウリ芽生えのしくみを宇宙実験で発見本学大学院生命科学研究科・髙橋秀幸教授らの研究グループは、国際宇宙ステーション「きぼう」での微小重力環境下で、JAXAとの共同実験によって、キュウリの芽生えの仕組みを究明しました。その結果、地上と宇宙では植物 (キュウリ芽生え) の体形が変わること、重力の有無で変化する形づくりに、オーキシンを輸送する「PINタンパク質」が重要な役割を果たすことを明らかにしました。本実験は、国際宇宙ステーションで実験操作を行った古川聡宇宙飛行士、地上からの操作を行った日本実験棟「きぼう」の運用管制チームの協力によって実施されました。本研究成果は、英国の科学誌ネイチャー・パートナー・ジャーナル npj Microgravity に公開されました。082016/09/26夢の多機能電子素材マルチフェロイック物質を光で制御する新手法を発見本学大学院理学研究科の松原正和准教授、大阪大学大学院基礎工学研究科の木村剛教授らは、多機能電子素材であるマルチフェロイック物質において、機能創出の鍵を握る「らせん電子スピン配列」を、光により直接かつ可逆的に制御することに世界で初めて成功。電子スピン配列を光により直接制御でき、また波長の異なる光の照射により、鏡像関係にある2種類のらせんスピン配列を可逆的にスイッチングできることを発見しました。この成果は、次世代のデバイス材料、マルチフェロイック物質の新しい制御手法を提供し、今後、光科学・磁気科学・物質科学の融合的発展に新たな道を拓くものです。本研究成果は、英国科学雑誌 Nature Photonics に掲載されました。042016/08/18
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