東北大学広報誌 まなびの杜 No.78
9/12
Award-Winning栄誉の受賞08|まなびの杜 78号Line-up of Leading-edge Researchニュートリノ科学研究センター・末包文彦准教授がフランスのブレーズ・パスカル・チェアに選ばれる薬学研究科吉田浩子講師が第61回米保健物理学会年会にてDade Moeller賞を受賞電気通信研究所・北村喜文教授、工学研究科&極限ロボティクス国際研究センターセンター長・吉田和哉教授が日本政府観光局(JNTO)からMICE誘致アンバサダーに新たに認定2016/07/2108/0108/26気象データと連動した熱中症リスク評価システムの開発本学サイバーサイエンスセンター、名古屋工業大学、一般財団法人日本気象協会の共同研究グループは、熱中症リスク評価シミュレーション技術に、気象予報データと経験からの数式を融合させたデータを組み込み、現実的な条件(例えば、アスファルト、運動場など)での熱中症リスク評価システムを開発しました。日本の夏場を想定し、屋外を歩行した場合、幼児の体温上昇は成人よりも早く、60分間で熱中症(軽度の脱水症状)になるリスクを有する結果を得ました。今後、個人属性を考慮した適切な熱中症リスク評価技術を活用することで、今まで以上に場面に応じた発症数の低減に貢献することが期待できます。012016/07/26熱を流すだけで金属が磁石になる現象を発見―電子の自転「スピン」による熱利用技術に貢献―本学金属材料研究所のダジ・ホウ研究員、本学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)/金属材料研究所の齊藤英治教授らは、磁性(磁石の性質)を持たない金属が、熱を流すだけで磁石の性質を示す現象を世界で初めて発見しました。イットリウム鉄ガーネット(YIG)という磁石に金の薄膜を貼り、温度勾配で熱が流れる状態にして、電極に生じるホール電圧を測定。その結果、温度勾配に比例した大きさのホール電圧が金薄膜に生じることを発見、この現象を「非平衡異常ホール効果」と命名しました。今後、新たな磁化測定法やスピントロニクスの熱利用技術への貢献が期待されます。本研究成果は、英国科学誌 Nature Communications のオンライン版で公開されました。022016/07/27史上最大の生物大量絶滅の原因を解明 ―地球規模の土壌流出と浅海無酸素化―本学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授らのグループは、約2億5200万年前の生物の史上最大の大量絶滅時に、地球規模の土壌流出が生じることによって、浅海の無酸素事象を引き起こし、生物の大変革を起こしたことを、堆積岩中の有機分子分析により解明しました。これによって、2億5200万年前の生物の大量絶滅については、地球温暖化と海洋深部の無酸素化に加え、陸上植生崩壊による土壌流出も重要な役割を果たしていることを示しました。この成果により、大規模火山活動から陸海の大量絶滅にいたるプロセスの大要が、見えて来たと言えます。本研究成果は、英国科学誌 Heliyon に掲載されました。052016/08/18世界初、緑内障分類の自動化方法の開発 ―緑内障病態の細分化、個別化医療への足がかり―本学大学院医学系研究科眼科学教室・中澤徹教授らの研究グループは、(株)トプコン技術本部と協力して、緑内障の診療や治療方針に有用な緑内障分類の自動ソフトウエアを開発しました。緑内障の原因は、眼圧はもとより、眼血流や近視、血管の攣縮などとされ、診療、治療が困難でした。本研究では、日本が世界をリードしている装置、スウェプトソース光断層計(OCT)で撮像した視神経乳頭形状の計測値を用いて、自動で緑内障の4分類を行います。これにより、多様な病因や進行形態の緑内障診療において、全国どこでも標準化された緑内障病態の細分化や、治療の個別化が期待できます。本研究結果は、米国の PLOS ONE 誌に掲載されました。062016/08/25図:1時間路上を歩行後の体表面温度
元のページ
../index.html#9