東北大学広報誌 まなびの杜 No.81
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表紙の写真手紙が記す家族愛 『まなびの杜』第81号をお届けいたします。本号では、震災経験を通して深められた歯学研究科・病院の歯科医師の口腔支援と地域社会との関わり、謎に包まれる地球深部の内部構造・化学組成の解明に挑む理学研究科・地球惑星物性学グループや、「実学尊重の精神」の礎を築いた本多光太郎(金属材料研究所・初代所長)のエピソードなど、様々な分野にわたる興味深い内容が紹介されています。情報化社会が拡がる昨今、情報セキュリティ対策が重要になっています。私事になりますが、かれこれ10年ほど前に自分のパソコンが知らない間に「トロイの木馬型ウイルス?」に感染し、日本中、いや世界中にウイルス付きメールを何百通も配信してしまった「前科」があります。以来、ウイルス対策には相当に気を使っていますが、全てのリスクを完全に防御できているか、自信がありません。本号の「教育」考で「情報セキュリティ教育」の取り組みが紹介され、実に頼もしく感じました。勉学、研究、仕事、それぞれにお忙しい毎日と思いますが、ぜひ皆様の机の傍らに『まなびの杜』を常備いただき、時間の余裕をみながらお読みいただければ幸いです。|編|集|後|記|『まなびの杜』編集委員会委員平成29年9月30日発行発行人:東北大学『まなびの杜』編集委員会委員長 齋藤 忠夫〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1東北大学総務企画部広報課 TEL.022-217-4977 FAX.022-217-4818この『まなびの杜』は、インターネットでもご覧になれますhttp://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/バックナンバーもご覧になれます 東北大学創立110周年記念企画 東北大学の珠玉コレクション●3薬学研究科 教授 佐藤 博木戸浦 豊和元 東北大学図書館職員(現 宮城教育大学図書館職員)●●●●●『まなびの杜』は3月、6月、9月、12月の月末に発行する予定です。『まなびの杜』をご希望の方は各キャンパス(片平、川内、青葉山、星陵)の警務員室、附属図書館、総合学術博物館、植物園、病院の待合室などで手に入れることができますので、ご利用ください。版権は国立大学法人東北大学が所有しています。無断転載を禁じます。『まなびの杜』編集委員会委員(五十音順)『まなびの杜』に対するご意見などは、手紙、ファクシミリ、電子メールでお寄せください。〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1TEL 022-217-4977 FAX 022-217-4818Eメール koho@grp.tohoku.ac.jp伊藤 彰則 北島 周作 齋藤 忠夫 佐藤 博 高田 雄京 高橋 信 高橋 雅信田邊 いづみ 寺田 直樹 福田 亘孝 堀井 明 増田 聡 横溝 博東北大学総務企画部広報課 谷口 善孝 石垣 大夢 清水 修 表紙の写真は、夏目漱石が大正元年(一九一二)八月十一日付で、三女・栄子(八歳)に送った絵葉書です。当時、栄子は避暑のため、家族とともに鎌倉に滞在していました。葉書の表には「このとりがたまごをうみますからにて御上がんなさい」などと記され、その裏面にはたくましい鶏の絵が描かれています。 漱石は、友人や弟子、家族に宛てて、親愛の情に満ちた手紙を数多く書き送りました。漱石が英国留学のあいだに妻・鏡子と交わした手紙も、そのようなものの一つです。明治三十三年(一九〇〇)の秋から二年間に及ぶ英国留学では、漱石は鏡子へ頻繁に手紙を送り、また、彼女からの返信を待ち侘びていたのです。 たとえば、明治三十四年一月二十二日付の手紙では、鏡子が長女・筆子とともに撮影した写真を送るように依頼しています。そして、同年五月八日付の手紙では、その写真が無事に届き、部屋に飾っておいたところ、下宿の女主人から「大変可愛らしい御嬢さんと奥さんだ」と言われ、褒められたことを伝えています。ただし、漱石は「日本ぢやこんなのは皆御多福の部類」だと答えたと、余計な憎まれ口も書き付けているのです。しかし、この悪態も嬉しさや誇らしさを冗談に紛らす、漱石一流の照れ隠しの言葉にほかならないでしょう。 これらの手紙が示すように、異国で、孤独な文学研究に没頭する漱石にとって、妻との手紙の交換は大きな励みとなっていたのです。漱石筆 鏡子あて書簡明治34年(1901)1月22日全3枚のうち3枚目漱石筆 鏡子あて書簡明治34年(1901)5月8日漱石筆 えい子あて書簡大正元年(1912)8月11日※写真の資料は、すべて本学附属図書館所蔵

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