東北大学広報誌 まなびの杜 No.81
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まなびの杜 81号|07最新の研究ラインナップ平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、本学は6名が科学技術賞、9名が若手科学者賞を受賞電気通信研究所の石黒章夫教授が2017 Human Frontier Science Program Research Grant Awardを受賞平成29年春の叙勲 〇瑞宝中綬章/加藤康司・平井敏雄・折笠精一・佐藤俊昭・長内健治(名誉教授)〇瑞宝双光章/梁川功・千葉健吉〇瑞宝単光章/横塚紀美子04/1104/2005/01世界初、速度で足並みを変える四脚ロボット―四脚動物の効率的な移動のしくみを解明―本学電気通信研究所の石黒章夫教授、大脇大助教らの研究グループは、四脚動物が移動速度に応じて足並みを自発的に変化させる現象を、四脚ロボットで再現することに世界で初めて成功。さらに、四脚ロボットで再現された足並みは、エネルギー効率に優れた、ウマなどの特性と一致することがわかりました。この成果は、四脚動物が足並みを自発的に変化させて効率よく移動するしくみや、動物が身体の自由度をどのように巧みに操っているかの解明に役立っています。また、これが、四脚動物の運動能力を有するロボットの工学的な実現へ、その基盤技術となることも期待できます。本研究成果は、英国の科学誌 Scientific Reports 電子版に掲載されました。032017/03/22植物の根が水を求めて伸びるしくみを発見―乾燥地で生きるために働く細胞群―本学大学院生命科学研究科の高橋秀幸教授らの研究グループは、Nottingham大学(英国)、山形大学、京都大学、奈良先端科学大学等との共同研究で、植物の根が水分の多い方向に伸びるために働く細胞群を明らかにしました。植物の根は、重力で下に伸びるだけでなく、水分の勾配を感知し高水分側にも伸びます。本研究は、根が水の多い方向に曲がって伸びるために、水分勾配を感知して屈曲すること、植物ホルモンのアブシジン酸とMIZ1タンパク質が伸びる領域の皮層組織で働くことを初めて解明。この研究成果は、重力応答による伸長方向の制御とは異なるしくみの存在を示し、乾燥地などに応用できる節水型植物栽培法の開発への貢献が期待されます。この成果は、英国科学誌 Nature Plants (電子版)に掲載されました。072017/05/10がん細胞を効果的に傷害する"薬効ルール"を発見―低分子型抗体の簡便なスクリーニング手法を開発―本学の熊谷泉名誉教授、本学大学院工学研究科の梅津光央教授、杉山在生人(博士後期課程3年、日本学術振興会特別研究員)らの研究グループは、がん細胞を効果的に傷害でき、治療薬として有望な組換え抗体分子を簡便にスクリーニングする手法の開発に成功しました。同グループは、実際にこの手法を用いることで、がん細胞に対して従来より約千倍高い薬効を示す組換え抗体の創製に成功。また、高い薬効を示す組換え抗体に共通した特徴を明らかにしたことも、大きな成果です。このスクリーニング手法の確立によって、組換え型がん治療抗体の開発がさらに加速していくことが期待されます。この研究成果は、英国科学誌 Scientific Reports (オンライン版)に掲載されました。082017/06/09マウスの切歯が伸び続けるメカニズムを解明―歯の再生への応用に期待―本学大学院歯学研究科小児発達歯科学分野の福本敏教授らの研究グループは、九州大学大学院歯学研究院との共同研究により、マウスの切歯(前歯)が伸び続けるメカニズムを解明しました。ヒトの歯は二度と再生しませんが、マウスなどの切歯は磨耗し削れても、一生涯伸び続けます。これは切歯の根元に幹細胞が存在し、継続的にエナメル質を形成する細胞を供給するからですが、そのメカニズムは不明でした。本研究は、細胞外マトリックスであるネフロネクチンが、歯の上皮細胞に発現し、上皮幹細胞からエナメル質を形成する細胞に変化させることを発見。歯の再生技術の開発に貢献するものと期待されます。この研究成果は、英科学雑誌 Scientific Reports 電子版に掲載されました。042017/03/28

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