東北大学広報誌 まなびの杜 No.81
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Award-Winning栄誉の受賞08|まなびの杜 81号Line-up of Leading-edge Research第6回サイエンス・インカレにおいて、理学部4年の藤田祐輝さんがサイエンス・インカレ表彰、工学部3年の村田真麻さんがSCREEN賞を受賞工学研究科都市建築学専攻の本江正茂准教授が第21回工学教育賞(業績)を受賞加齢医学研究所の渡辺彰教授が第28回志賀潔・秦佐八郎記念賞を受賞2017/03/2103/2304/10酸化亜鉛が磁性伝導電子を持つことを発見―半導体における磁性と高速制御の両立へ道―本学金属材料研究所の塚﨑敦教授や、理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター、マックスプランク微細構造物理学研究所の国際共同研究グループは、非磁性半導体である「酸化亜鉛」の伝導電子が、磁性を持つことを明らかにしました。非磁性半導体にマンガンなどの磁性元素を混ぜると磁性半導体となりますが、電子の移動速度が低下し高速な電気的制御を阻害する問題がありました。一方で、川﨑雅司グループディレクターらは、磁性を持つのに有利な高品質な酸化亜鉛の単結晶薄膜の作製に成功。今回の成果は、磁性元素を混ぜることなく、電子同士の電子的な反発のみを利用して磁性を持たせられることを発見したことです。研究成果は、国際科学雑誌 Nature Communications に掲載されました。012017/03/17内服薬により難病指定の糖尿病─亜型の治療に成功―脂肪萎縮性糖尿病に新たな治療選択肢を提示―東北大学病院糖尿病代謝科の今井淳太講師、川名洋平医師、片桐秀樹教授らの研究グループは、糖尿病の内服薬であるSGLT2阻害薬によって、難病に指定されている脂肪萎縮性糖尿病が顕著に改善したことを報告しました。これは、脂肪萎縮性糖尿病に対するSGLT2阻害薬の効果を示した世界初の報告です。今回の研究は、SGLT2阻害薬を投与したところ、脂肪肝が減少し、コントロール不良な糖尿病、インスリン抵抗性が改善することが明らかとなりました。比較的安価な経口薬による本治療法は、脂肪萎縮性糖尿病に対してきわめて有用であり、新しい治療選択肢として期待されます。本研究成果は、米国内科学会誌 Annals of Internal Medicine に掲載されました。022017/03/21隕石中から太陽系最古の新鉱物を発見 ―初期太陽系進化過程の条件に新たな制約―本学大学院理学研究科地学専攻の吉崎昂・院生、中村智樹教授、武藤潤准教授らの研究グループは、カリフォルニア工科大学のChi Ma博士との共同研究で、隕石試料中に存在する太陽系最古の物質から新種の鉱物を発見しました。この鉱物は、隕石の研究で著名なカリフォルニア大学ロサンゼルス校のAlan E. Rubin博士にちなんでRubinite(ルービナイト)と命名され、国際鉱物学連合(International Mineralogical Association)により新鉱物と認定されました。このルービナイトを分析することで、太陽系誕生直後の固体物質の物質進化過程における、温度や圧力、ガスの化学組成などの物理化学条件の新たな成約が解明されるものと期待されます。この新鉱物は、イギリスの学術雑誌 Mineralogical Magazine のNew Mineralsリストに掲載されます。052017/04/12ランダムな偏光をもつ単一光子の発生・検証に世界で初めて成功本学電気通信研究所の枝松圭一教授、阿部尚文研究員らの研究グループは、静的にも動的にもランダムな偏光状態にある単一光子を、ダイヤモンドを用いて発生させることに成功しました。量子情報通信技術では、量子ビットは単一光子の偏光を用いて実現されます。従来は特定の偏光のみが利用され、個々の光子がランダムで特定の偏光を持たない単一光子はさらに有用であると期待されながら、その発生は確認されませんでした。今回の成果によって、光子を用いた真性乱数発生器(例えて言えば量子サイコロ)の実現や量子暗号の技術開発、量子力学の基礎問題の検証に重要な役割を果たすと期待されます。この研究成果は、オープンアクセス科学誌 Scientific Reports に掲載されました。062017/04/27

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