東北大学 文学部 学部案内 2020年度入学者用
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 欧州全体を包んでも余りある広々とした大地のうえで、悠久の歴史を持つ中国社会は変化に富む豊かな文化を生み出してきました。その多種多様な文化の個別的内容や特徴、あるいは他の諸地域の文化との間の共通性や異質性などについて、文献を読みときながら研究をおこなう学問(すなわち中国文化学)の一環として、特に中国思想という学問分野では、人々が営んだ思想に光をあててそれらの具体的様相や歴史的意味、さらには現在的意義を追究してゆきます。中国の思想は、古くから日本人の生き方や考え方に大きな影響を与えてきた観念の体系として、現代日本人の意識にもその奥深いところで強く働きかけています。中国の思想的文献との真剣な対話を通して、人間の本性や運命、社会や政治の在り方などに関する中国人の思想それ自体はもとより、これらの諸問題をめぐる彼我の異同をも考えてゆこうと志す学生を歓迎します。 インド・ヨーロッパ語族の一分派であるアーリヤ諸部族がインド進出以前にもっていた言語文化の背景から、インドに発して、チベット、東アジアに展開した仏教に至る、3000年を超える時代を対象とします。ヴェーダ、ウパニシャッド、マハーバーラタ、ヒンドゥー教典、古典文献(文学、哲学など)と、初期仏典、大乗経典、論書、密教経典などの仏教文献とを中心に、厳密な原典研究を目指しています。授業では文法書や研究書を参照しつつ、基礎的な原典を読みます。遙か昔に遠い地に生きた人々が遺した文献は、人生、死後の問題、世界、宇宙の構成などに亘って真剣な思考と議論の跡を伝え、現代の私たちにも直接訴えかける人類の古典です。かの地で確立し我が国に伝わる、「業」や「輪■」などの諸概念を源まで■ることができ、他方、ヒンドゥー社会独特の人生観や価値観を学ぶことができます。恵まれた環境で、人類史という普遍軸を頭の中におきながら、国際協力の伝統を誇るこの分野に挑戦する有為な若者を待っています。 東洋史学が本来扱う範囲は広くアジア全域にわたるのですが、本学の場合は東アジアの漢字文化圏、中でも中国史に中心を置いて教育と研究に取り組んでいます。中国社会は、数千年にわたって独自の文化を築き上げてきました。こうした特色ある「中華文明」の発展過程を明らかにし、その本質に迫ることを第一の課題としています。 紀元前15世紀、殷代において甲骨文字による記録が始められて以来、中国の人々は内乱や非漢民族の侵入等々動乱が相次ぐ中で、それぞれの思いを込めて多種多様の厖大な文献を著してきました。そうした原典史料から当時の人々の生きた姿を読み解くことが研究の第一歩であり、また、最も重要な課題であろうと考えております。シルクロードや三国志の英雄など、多様な関心のただなかで、中国古典文(漢文)史料に立ち向かい、原点に降り立って思索を重ねることに新鮮な感動と喜びを抱き得る諸君を期待します。 英文学の世界は広大な時間と空間に広がっています。紀元九世紀頃から現代に至る小説、演劇、詩などいろいろなジャンルがあり、しかも、地域的には必ずしもイギリスに限定されません。オーストラリア、南アフリカ、カナダなどの文学、さらにはアメリカ文学も広い意味での英文学に含めることができるでしょう。現代のイギリスでは、カズオ・イシグロなど、文化的に多様な背景を持った作家たちが活躍していることを見ても分かるように、「英」文学は英語で書かれた文学のすべてを扱うといってもよいのです。現在の英文学研究室は、ロマン派文学を専門とする大河内昌教授と、20世紀イギリス文化・文学を専門とする大貫隆史准教授、ルネサンス期の英文学を専門とするジェイムズ・ティンク准教授の3名が講義を担当しています。若い皆さんには、さまざまな作品を広く、深く、そして何よりも楽しみながら読むことで、偏りのない判断力と豊かな思考力・想像力とを育てていただきたいものです。12Laboratory IntroductionChinese PhilosophyIndology And History of Indian BuddhismEast Asian HistoryEnglish Literature研究室紹介■■■■■■■■■■■■■■■■■

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