東北大学 文学部 学部案内 2020年度入学者用
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 ドイツのリッケルトは、「自然科学」と「文化科学」という言葉の対比を通じて、学問を理系・文系とに区別する考え方の基礎を提出しました。その文系の学問世界の中核をなす文学部の研究は、哲学・歴史学・文学の三大分野からなるものと意識されてきました。しかし、今日では文系・理系、さらには哲・史・文というような研究の垣根を意識的に取り払い、新たな研究分野の開拓が模索され、「学際的」な研究が数多く生まれています。また、研究の国際化が促進され、海外の学者たちと共同して研究の理論や技法を開発する傾向も顕著になっています。 現代日本学研究室は、学際化と国際化をメインテーマとして、これまで見落とされたり見過ごされてきた「日本」の実像を新たな視点から再構成することを目指します。 なお、現代日本学研究室では、学際的で国際的な日本研究のためには「国際経験」が不可欠であると考え、海外留学・外国人学生との積極的交流を学生時代の経験の柱とする教育指導を行います。広い世界の中で自己を見つめ直し、変貌する学問の魅力を体得したいと考える学生の輪に加わってください。 日本思想史学は諸外国や諸民族との対比において、「日本的」なものの考え方や価値観の形成過程とその独自性を、歴史的な視点から客観的に明らかにしようとする学問です。この列島上で展開された、古代から現代までのさまざまな思想的・文化的な営みを広く明らかにすることによって、人間とは何か、「日本人」とは何かといった問題を探っていくことを目的としています。 東北大学の日本思想史専修は、この分野の草分け的な存在として、大正12年の開設以来、一貫してわが国の日本思想史研究界の中心的役割を担い、多数のすぐれた研究者を国内外に送りだしてきました。研究室には多くの大学院生、各国からの留学生が在籍し、また卒業生は、教育界や公務員の世界をはじめ、商社・銀行・マスコミ・出版等の企業社会などでも、活躍しています。 本専修では授業のほかにも、定例研究会や史料講読会の開催、学術雑誌の刊行、花見・芋煮会など、大学院生や学生主体の活発で多彩な活動が行われています。 日本文学専修では、古代から現代に至る、きわめて幅広く多様な日本の文学(文芸)を研究の対象としています。日本文学の研究にはさまざまな立場や方法がありますが、東北大学日本文学研究室では、文芸が芸術の一種であるとの見地に立ち、日本文芸の様式、特質、展開を明らかにするとともに、その意義を世界文芸との関連において探求することをめざして、活発な研究と教育が行われています。 本研究室には、多くの大学院生、留学生も在籍しており、新たな見方、考え方、知識を得る機会にも恵まれています。また、研究室創設以後の卒業生は1,100名を超え、国内、海外の学界、教育界、図書館、ジャーナリズム、出版界、官公署、企業など多方面で活躍しており、卒業生・修了生と在校生から成る「東北大学国文学科杜の会」も組織されています。さまざまな人との貴重な出会いと交流の中、本研究室で着実に多彩に柔軟に日本文学を学ぶことを通して、幅広い視野から新たな発想で文化・社会を深く理解する力を身につけることが期待されます。 日本語学は、過去および現在の日本語、または過去から現在へ変遷した日本語を研究対象とする学問です。これらの日本語には、中央の言葉ばかりでなく方言も含まれています。また、言語構造の上からは、音韻・語彙・文法・文章・文字・言語行動等の研究分野があり、理論的かつ実証的に研究されています。現代語研究では、言語学の最新の理論を参照することもよくあります。方言研究には実地調査等のフィールドワークも含まれますし、音声の研究では、コンピューターによる解析や音声実験も重要な分析手段となります。いずれにせよ、母国語を研究するためには、身の回りの膨大な資料を有効に利用するとともに、自らの言語感覚を鋭敏に研ぎ澄ますことが重要です。 研究室には、世界各地からの留学生が多く、毎年20人以上の外国人留学生が在籍しています。 卒業後は、研究・教育に従事する者が多いですが、専門をある程度生かしながら放送・出版関係、官庁、一般企業等で活躍する場合もかなり見られます。8Laboratory IntroductionInnovative Japanese StudiesHistory of Japanese ThoughtJapanese LiteratureJapanese Linguistics研究室紹介■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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