東北大学 工学部 材料科学総合学科 研究室紹介
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研究室TOPICS材料環境学コース Course of Eco Materials Science【教授】 セルゲイ・コマロフ 【准教授】 吉川 昇【助教】山本卓也 http://www.material.tohoku.ac.jp/~kino/student/Komarov_lab/index.html花と言えば桜。自然を愛でる日本人の感性。 2014年から立ち上がったコマロフ研究室。親睦を深めるイベントとして早速開催されたのが「お花見」です。27年前、ロシアから来日されたコマロフ先生、葉に先駆けて花が咲くソメイヨシノに驚かれたのだといいます。「美しい上に、自然現象としても面白いと感じました。開花時期も新年度ということで、気持ちの区切りにもなりますね。そもそも私が日本に興味を持ったきっかけとなったのが『桜の枝』(フセヴォロド・オフチンニコフ著)というエッセーでした。そこには自然に寄り添う日本人の繊細な感性が綴られていて、私も来日してすぐに石庭で有名な龍安寺(京都)を訪れたほどです」。海外からの注目を集める日本の伝統、文化・芸術、習俗…私たちも“クール・ジャパン”を再発見していきたいものですね。 29優れた技術で架橋する「経済性」と「環境」。 例えばアルミニウムのスクラップから二次合金を作り出すプロセスを、原料(ボーキサイト)から地金を製造する過程と比較すると、要するエネルギーは約3%、CO2排出量も3%で済みます。アルミニウムが「リサイクルの優等生」といわれる理由ですが、一次合金地金は、金属組織・機械的特性を改善・向上させるため、TiB2 (チタンホウ化物)、AlP(リン化アルミニウム)など様々な改質剤が添加されており、それがリサイクル時の選別を困難にし、コストを押し上げています。 コマロフ研究室では、超音波振動によって組織を制御し、改質剤を使うことなく、アルミニウム合金に要請される品質・特性を担保する研究に取り組んでいます。「経済性」と「環境配慮」は、しばしばトレードオフの関係として挙げられますが、本研究室では技術力で二つを架橋することを目指しています。 一方、進展するグローバル化の潮流の中、英語によるコミュニケーション能力の必要性はますます高まっています。本研究室では、異文化理解に向けた国際交流や、英語力の鍛錬に向けた研究室独自の取り組みを展開。グローバルな視野で考える“環境人材”の育成にも力を注いでいます。超音波振動、マイクロ波、電磁力、プラズマを使った材料プロセス創成。「物理的作用」への理解を、循環型社会づくりにつなげる。独自の研究開発を通じた環境負荷低減への貢献。 みなさんは「3R」という言葉を耳にしたことはありませんか? これは廃棄物の①リデュース(発生抑制)、 ②リユース(再使用)、 ③リサイクル(再資源化)の頭文字を取ったキーワードで、それらの取り組みを通じて環境保全と経済成長を両立させた循環型社会を目指そうというものです。今や“持続可能性”への視座は、未来に責任を持つ私たち一人ひとりが持たなければならないものです。 コマロフ研究室が掲げるのは、研究開発を通じた環境負荷低減への貢献。超音波振動、マイクロ波、電磁力、プラズマといった「物理的作用」を使用した循環型材料プロセス/環境調和型プロセスの設計・開発を担っています。ターゲットとなるのはアルミニウムや鉄鋼、セラミックス、ナノ構造材料、産業廃棄物など、私たちの暮らしに身近なものばかり。これらは(産廃を除いて)環境負荷が高い製造プロセスを必要とします。本研究室では、再資源化・リサイクルしやすい新材料の創出や、環境にやさしい鋳造技術・プロセスの開発(グリーン鋳造)、廃棄物の無害化処理の技術開発に向けて、独自の発想と視点によりアプローチしています。循環材料プロセス学講座コマロフ研究室これぞクール・ジャパン!『お花見』

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