教 授 田 中 仁(栃木県立佐野高等学校)本コースの研究は多様である。これがキーワードである。テーマとして,河川や海岸の自然現象の解明,リモートセンシングや測器の観測技術開発,土砂や栄養塩動態地図の作成,乱流や土砂移動の理論構築,微生物や植物を用いた水処理技術開発,津波や洪水のコンピューターシミュレーション,災害時の避難解析,干潟や湾,湖の水の流れと生物相の評価等が行われている。また,複合領域が多くあり,横断的な共同研究も実施されている。 東日本大震災からすでに5年以上が過ぎました。震災前,河川工学・海岸工学の立場から地元を含めて様々な現場を見てきた身にとって,震災直後に仙台港周辺を訪れた時の無念さは今でも忘れることが出来ません。これまで様々な復旧・復興がなされてきましたが,未だに大きな問題を抱えた箇所も存在します。また,今後同様な,あるいはさらに激烈な震災発生の可能性を持った地域があることを考えると,東日本大震災を経験した地域の大学としてなすべき大きなミッションを感じます。 一方,海外に目を転じると,我々の多岐にわたる経験を活かすことの出来る場が沢山あります。個人的には,最近,ベトナムの海岸侵食問題の研究に注力し,年に7-8回ほど現地を訪れます。ベトナムの海岸災害は,日本で我々が経験したものが時間差を伴って発生しているものも多く,国際協力の場は沢山あります。ただし,その問題点が発現した機構・過程を考えると,それはそれぞれの土地の社会に深く根ざしたものになっています。したがって,今後の問題解決を考えると,様々な社会構造・文化的なものにまで深く踏み込んでいくことが必要になります。この様に,海岸侵食など自然現象はある自然科学の法則に則ったものですが,それを取りまく人の営みの存在がまさにCivil Engineeringの本質を示しているように感じます。コミュニケーションのためには当然英語力も必要ですが,問題の解決手法はより社会科学的な色合いが強く,社会・文化・歴史の相違までも踏まえたアプローチが必要になります。 この様な刺激的な仕事に皆さんと一緒に取り組んでみたいと思っています。本コースの河口や干潟の研究は世界をリードする領域である。研究の手法は,フィールド観測,実験,計算機を使った数値計算,理論解析等である。研究対象は,実験室内のミクロな世界,河川,河岸の観測地点,流域,国内全域,世界と幅広い。このように多くのテーマが様々な切り口と手法で実施されている。多様なテーマの中から個人の性格にあった研究を選ぶことができる。その結果として,個々が国際的にも高いレベルの研究成果を発表している。個性に応じた研究課題震災復興と国際貢献モデリング生物生物研究紹介教員紹介物理物理理論・解析水環境研究水環境研究化学化学観測・実験Water and Environmental Studies
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