東北大学 工学部 化学・バイオ工学科
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 触媒は特定の化学反応を著しく促進させ、通常では反応しない物質の変換を可能にする物質で、持続可能な社会の実現には必要不可欠と考えられています。応用化学コースでは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を化学原料とみなし、他の原料と反応させることで付加価値の高い化学品(有用化学品)への変換を可能とする固体触媒の開発を行っています。二酸化炭素と反応させる原料をバイオマス由来の原料とすることで、グリーンポリマーの合成への展開も期待されています。これらの技術によって、温室効果ガスの排出量削減につながる二酸化炭素の固定化に貢献します。 化学工学コースでは、化学やバイオが関連する様々なモノ(製品)の作り方について研究しています。製品の中核をなす材料の機能は、その化学組成や分子構造で主に決まるとされてきました。そのため従来の機能性材料の開発は原子・分子の視点(Å (= 0.1 nm)程度の尺度)で進められてきました。これに対して我々は、数10nm〜1μm程度の「大きさの■った微粒子」を原子・分子に見立て、それを2次元/3次元で組み上げて創る新しい材料創製法について研究しています。この手法を使えば、原子・分子を単に混ぜただけでは得られない新しい機能を創出できるようになります。例えば、図中のゴルフボール型粒子が液中で集まると、ヘビのように「くねくね」と動く新しい構造体を作ることができます。 DNAに刻み込まれた遺伝子の情報から一番初めに創りだされるタンパク質は、様々な産業で活躍しています。特に医薬分野では、副作用が小さく治療効果が高い医薬品をつくることができるため、世界的に激しい競争がおきています。2018年のノーベル化学賞には、自然界でおこる進化を試験管の中でまねて自分の好きな機能をもつタンパク質を創りだす「進化分子工学」の研究が選ばれ、生理学・医学賞は免疫細胞にブレーキがかからないようにする抗体タンパク質の医薬品開発につながる研究でした。バイオ工学コースでは、進化分子工学と人工知能の技術を組み合わせることで、これまで1年かかったタンパク質の開発が1ヶ月で終わる技術の開発や、これまでよりも1000倍もがん細胞の殺傷作用がある抗体タンパク質を創りだしています。AI&進化分子工学による新機能タンパク質の開発枯渇剤1μm■■■■■■■■■ゴルフボール型粒子緑色蛍光黄色蛍光■■■■■■■■緑色に光るタンパク質を黄色に変える!球状粒子免疫細胞■■■■液中でヘビのように動く微粒子集積体■■■■■■スーツケースCDスポンジシート有用化学品CO2二酸化炭素枯渇相互作用人工知能■■■■ 科学技術は日進月歩です。応用化学、化学工学、バイオ工学の各コースでは当該分野の進歩を主導する先端研究が常に行われています。ここでは、化学・バイオ工学科が世界に誇る最先端研究の一部を紹介します。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■がん細胞■■■■■■■■■■■■■■高い殺傷力をもつスマート抗体■■■■■■■■■■■ ■■■Damage応用化学化学工学バイオ工学12Topics固体触媒による二酸化炭素からの有用化学品合成「微粒子を集めて創る」新しい機能性材料作製法の開発人工知能&人工進化技術によるバイオ医薬の開発世界の研究者も注目する先端研究

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