東北大学 医学部 2022
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急速に発展し各分野で活用が進むAI(人工知能)。医療分野においても、その活用によってもたらされる革新的な恩恵が期待されますが、そこで重要となってくるのは、やはり「人」。この変革の時代に、最先端の科学を吸収し、医療人と開発者を結ぶハイブリッドな人材をいかに育てていくか。医学を目指す高校生に向けて語り合ってもらいました。医療におけるAIの可能性とこれからの医学教育について鼎 談 教授 : 画像診断学分野植田琢也 Ueda Takuya田宮 元 Tamiya Gen 教授 : AIフロンティア新医療創生分野 講師 : 医学教育推進センター岩﨑淳也 Iwazaki Junya植田 今AIは大変な勢いで発達していまして、さまざまな産業や企業でいろいろな試みがなされています。高校生の皆さんも肌で感じていると思いますが、すでに生活の中に入ってきて社会に取り込まれています。これは一時的な盛り上がりで済まずに、世の中を変える大きな流れになるとして第4次産業革命とも言われています。一方で医学研究には少し遅れて入ってきます。生命を扱う学問なので確実な技術であることが確認されないと実際の応用には向けられないからですが、もう一つが、開発をしている人と実際に人を診る医療人が、お互いの技術を理解していないことがあるためです。開発者は医学を理解するのは難しい部分がありますし、医療者はAIに入れれば何でもできるんじゃないかという誤信があります。そういうお互いの誤解を解いて、両方のことが分かる、医療者と技術者をつなぐ人材を育てようと、2021年4月より「Global×Localな医療課題解決を目指した最先端AI研究開発」人材育成プログラムを開始しました。田宮 植田先生のおっしゃる通り、医療医学サイドの専門家の先生方と情報や基礎研究の先生方の間をブリッジできる人材が今後非常に重要になってくると思います。それはオンジョブでは難しいところがありますので、教育が大事になるでしょうね。植田 全ての学問や技術が一つに統合されているところがこの第4次産業革命の大きなメリットで、人材もそういう形で統合して、医学をやる人、デジタルをやる人、機械をやる人、それに文系の社会学の人なども含めて一つのコンソーシアムをつくるような形がいいのではと思っています。岩﨑 このプロジェクトは大学院生、医師向けではあるんですけども、学部生は何もできないかというと、そうではありません。植田先生もAIを学びたいという医学科の学生に勉強会を開いているように、本学は研究が大好きな先生が多くて、学生が研究したいと言うと受け入れてくれています。本学に来ればそういう扉は開いていますよというメッセージは、この機会に発信したいなと思っていました。植田 実際、この辺の数理をやるのは若いうちの方が吸収は早いですからね。プログラムを打ったことがない、数学もできないという人が半年ほどでできるようになるので、興味を持って入ってくれれば医学も分かり数理もできるハイブリッドな人になれます。今の高校生がそのファーストジェネレーションになるのではないでしょうか。田宮 私の専門である遺伝統計学の中で医学ビッグデータを扱うことが始まって15年ほどになります。普通のビッグデータであれば、例えばコンビニでお客さんの性別や年齢、何を買ったかなどいくつかの情報が数百万人分などたくさんの人数に対してあるわけです。ところが医学ビッグデータは逆に数千人から1万人程度の人に対して、大量の遺伝子データや診療データがつながっています。このことが非常に困難な分析上の問題を導くことが分かっていて、それを柔軟に解析するためには、古典的な統計学ではもう通用しなくなって、統計学の一分野として発生してきた機械学習やAIを使うようになっていきました。そういうものを使って疾病疾患を発生させる要因をつかまえ、予測することができると、病気になる未然の状態で効率よく予防をしたり、人が知らなかった経路を探し出して、そこに対する創薬や治療法を新たに開発したりするチャンスが生まれます。植田 AIが導き出す結果は既存の医師が持っていた固定観念を破壊する非常にいい機会だと思います。AIが示す結果の意味を、改めて医療的な目で見ることも重要になるので、その点でも医療に必要な知識を持つ人とデータサイエンティストをつなぐ人材が必要となってきますね。岩﨑 例えばがんの診断に有用だったAIが別の診断にも有用だったり、コンバートしやすかったりするという側面もありますよね。医学は多様な先生が多彩な研究をし第4次産業革命を医学に生かす人材教育プログラムAIはこれからの医療をどのように変えるのか03TOHOKU UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE 2022

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