東北大学 医学部 2023
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https://www.sdgs-id.med.tohoku.ac.jp/(写真左から)小坂健[厚生労働省クラスター対策班]、石井直人[医学部医学科長]、押谷仁[東北大学感染症共生システムデザイン学際研究重点拠点(SDGS-ID)拠点長/新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会]ざまな分野の人たちが協力し、総合知で実践していくことが必要だと思います。業生であり医師免許も持っているんですが、医者をメインとして働いているわけではないのですね。医学の方向もいろいろありますから、医学部を卒業したからといって全員医者になる必要はありません。私のようにマウスを相手に基礎研究をするもよし、押谷先生のように世界を相手に幅広くいろんなことをするのもいいですし、小坂先生のように医師として在宅医療を行い、公衆衛生の分野で行政と関わりながら仕事をするなど、多様なキャリアパスがあります。それを選ぶにはやはりさまざまな経験をするのが大事で、そうした人が次の世代のウィズコロナあるいはポストコロナの社会を背負って立つ人材になっていくと信じています。高校生の皆さんには、医者になるために医学部を目指すというだけではなく、もっと広く世界に貢献できるような大きな視野を持って医学を学んで、それを社会に生かすという志で東北大学医学部を目指していただきたいと思います。そして医学部でも医学、医療だけを学ぶのではなく、東北大学は総合大学ですのでリベラルアーツという形でいろんなことを学び、学生生活の中で恋もすれば部活もして、幅広い人生経験を積むことがきっと将来役に立つと思います。ごく増えていて、医学教育も詰め込みになっています。一方で予期できないこと、想定できないことは知識だけでは対応できません。今回のCOVID-19についても、どの教科書を読んでもそこに解決策は書いていませんよね。しかも今の最適解は来週の最適解ではないかもしれない。そういう時代にわれわれは生きていて、特に若い人たちはそういった状況に対応できるような柔軟性を持っていないといけない。知識が豊富で「歩く辞書」のような医者が大事だった時代ではなくなっていて、インターネットなどを活用して最新の情報を自分で咀■■■■嚼して現場に生かしていく、そういう人材が求められているんだろうと思います。 COVID-19や争乱にとどまらず、これからも予期できないことが起こり得るでしょう。この不確実性の非常に高まる時代を生き、予測不能なことに対応していかなければいけない若い人たちには、知識偏重に陥らず、広い視野で多角的な考え方を持てる人材になってもらいたいです。SDGS-IDを通して、若い人たちがそうしたことを考えることにつながってくれたらと願います。 (2022.3.31 取材)東北大学感染症共生システムデザイン学際研究重点拠点(SDGS-ID)04学内外で幅広い人生経験を得て広い視野で考えられる人に小坂 東京に全国から在宅医療の人を集めてチームをつくって患者さんのケアに当たっている人がいます。彼の活動を見ると、困っている人がいたら自分は何ができるかを考えて、ネットワークを使って新しいことをどんどんやっていける人材というのがこれからは必要なんだろうと感じます。学校で教わったことをきちんとやっていくのも大事なんだけれども、それだけでは世の中解決していきません。私の尊敬する同級生が「人間は遊んだり恋をしたり、スポーツをやったり集団生活をしたり、そういうことで人生を学んでいくのであって、朝から晩まで授業に出ているだけで学べるわけではないよね」と話していました。彼は全国の大学から引く手あまたなんですが、長野の村できこりをしながら在宅医療をしています。それぞれの現場で現実の場面の中で、課題を見つけさまざまな工夫で乗り越えようと頑張っている人たちです。ですからキャンパス内だけに全てがあると思わず、現場を知ること、それに対して若い感性で、それを乗り越えるために何が必要かを常に考え、挑戦できるような人が育っていってほしいですね。石井 私たち3人は、東北大学医学部の卒予測不能な時代を生きる若き研究者に求められるもの押谷 現在の医学部の学生は覚えなければいけないことが私たちの頃と比べてもす

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