東北大学 文学部 学部案内 2024年度入学者用
16/24

Laboratory IntroductionApplied Japanese LinguisticsEthicsTohoku University, Faculty Of Arts And Letters 2024PhilosophyEastern And Japanese Art History16 これからの日本は、異なる文化背景を持つ人々とともに生活し新たな社会をつくる共生社会の時代です。今後より一層多様化、グローバル化の進む社会において、「ことば」は人と人をつなぎ、社会をつくりだす原動力になります。本専修では、多様な日本語学習者に応じた学習環境をデザインできる優れた日本語教員を育成するだけでなく、異なる文化背景をもつ人同士の関わりに際して、互いに人として尊重しあいながら、課題を共有し、ともに解決していくための資質・能力を備えた国際的な人材の育成を目指しています。 本専修の学生は、多様な文化背景の留学生とともに、明るく自由な雰囲気のもとで、日本語や日本語の学習・教育について学び、言語や教育に留まらない広い視点から日本社会への理解を深めます。そして、日本語教育学実習では、これらの総合的な知識や経験を生かして日本語コースを学生自身がデザインし、日本語学習者に教えるという貴重な体験をします。 卒業生は、国内外の日本語教員や大学院進学という進路のほか、公務員、学校教員として、あるいは一般企業においてその専門性を発揮し、多方面で活躍しています。 善いと悪い、幸せと不幸せ、魅惑と嫌悪、意味のあることと無意味なことなど、私たちの生活はさまざまな価値に彩られています。そうした価値について、あるものがそれをもつかもたないかはどう決まるのか、なぜそうした価値は存在するのか、そもそもそうした価値は存在するのか、といったことを、筋道立てて、論理的に考えていくのが倫理学です。具体的な主題で言えば、道徳と幸福のほか、友情、恋愛、親子愛、自由、誕生と死、笑い、宗教などなど、私たちの生活のほぼすべての領域が含まれます。 高校倫理が好きだった人は、ぜひ覗いてみてください。高校倫理で学ぶのは、いわば、過去の有名サッカー選手によるスーパーシュート集です。大学では、実際に自分でゲームに参加して、シュートの打ち方を学ぶことができます。 上に挙げたような問題は、結局は人それぞれだし、論理的に考えることなんてできない、と思われるかもしれません。そう思われる方も、ぜひ覗いてみてください。大学での倫理学の授業は、その思い込みをきれいに覆してくれるはずです。 哲学(philosophy)という言葉は「知を愛する」という意味のギリシア語に由来しています。「知を愛する」ことは、人を愛することと同じように、誰にでも開かれた普遍的な営みです。実際、プラトンもアリストテレスも、哲学は単純な「驚き」から始まると述べています。もちろん、ただ驚いているばかりでは哲学は始まりません。その不思議や■を理論的に解きほぐし、物事の根本に■って考え抜くことが要求されます。そのために必要なのは、ソクラテスが実践したように、筋の通った議論を最後まで続けることだけです。その意味で、哲学は知的好奇心と理論的探究心を持つ者なら誰でも参加できる、「知」のマラソン・レースだと言えるでしょう。 私たちの研究室が主に扱うのはヨーロッパを中心とした西洋哲学であり、現在のスタッフの研究領域は、古代哲学、近現代哲学、科学哲学、生命環境倫理学と多岐にわたります。好奇心と持久力をそなえたみなさんが、観客ではなく競技者として私たちのレースに参加されることを期待してやみません。 歴史を研究する学問のなかで美術史は、表現されたモノ─「美術作品」を対象とする点に大きな特徴があります。美術作品は、それ以前の作品の「かたち」をもとにして生まれ、またそれ以後の作品に「かたち」を伝えます。また、美術作品は、それを作る人間と、それを見る人間との間のさまざまなコミュニケーションを媒介します。表現と人間の関わりを考えることから、さまざまな人間像や歴史像を浮かび上がらせることができるのです。 作品が伝えている情報は「かたち」というなかなか言葉にしにくいものですが、それを、自らの感覚と知識をもとに言葉にする、それが美術史という学問の醍醐味です。このような学問ですから、まずは美術作品をよく見ることが必要となります。研究室のメンバーは作品観察のために国内・国外に出かけてゆき、新しい学生は、研究室としておこなう研修旅行の下準備や実地での観察を通して、研究の方法を学んでゆきます。その意味で美術史は体験の学問ともいえます。この研究室の扉を叩こうとする皆さんには、多くの美術を体験しようとする旺盛な好奇心を期待したいと思います。研究室紹介日本語教育学倫理学哲 学東洋・日本美術史

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る