地球惑星物質科学科・地学専攻池田 理 さん博士課程後期3年宮城県仙台第一高等学校出身平成27年入学リュウグウ試料表面に成長したサンゴ状のCuS結晶Faculty of Science, Tohoku University渡辺 詩文 さん博士課程前期1年洗足学園高等学校出身平成31年入学19地球を含む太陽系惑星は、約46億年前にガスや塵で構成される原始太陽系星雲から形成されました。その後地球では約40億年前にプレートテクトニクスが始まり、38億年前ごろには有機物から最初の生命が誕生したことが分かってきました。しかし、原始太陽系から惑星が誕生する過程や初期地球の形成・進化、生命の起源と進化、地球表層から深部に至る元素・物質循環など、未知の部分が多く残されています。最先端の地球惑星物質科学は、物理学や化学、生物学などとの融合科学に発展し、ナノサイズからマクロサイズへ至る幅広い連続的な階層で研究が進められています。鉱物学グループ鉱物学グループ鉱物の組織や結晶構造を調べて、鉱物や岩石の成因を調べています。生命の起源と地球・生命の初期進化について複合的な研究を進めています。太陽系初期進化の解明のため、探査機で回収した小惑星サンプルや隕石を研究しています。超高圧高温実験から惑星内部構造進化を研究しています。地球内部のマグマや超臨界流体の活動を総合的に理解することを目指しています。地殻・上部マントル物質を調べることで固体地球の進化と変動の総合理解を目指しています。様々な地質鉱物試料や環境試料などにおける結晶の生成・組織化メカニズムを調べています。資源・環境地球資源・環境地球化学グループ化学グループ初期太陽系初期太陽系進化学グループ進化学グループ量子ビーム地球量子ビーム地球科学グループ科学グループ火山学・地質火山学・地質流体研究グループ流体研究グループ地殻化学グループ地殻化学グループグローバル結晶グローバル結晶科学グループ科学グループ手に取れる大きさの試料に物理や化学など様々な手法でアプローチし、地球から太陽系まで広い範囲の現象の解明を目指すのが地球惑星物質科学科の特徴です。物理と化学の両方に興味があった私は受験する学科に迷い、研究手法の選択肢が広い地球科学系を選びました。入学後に地球内部の環境を再現する高温高圧実験に出会い、現在は物性物理的な視点からマントルの水循環の解明に取り組んでいます。幅広い研究の中から、興味に合う研究手法に出会えることも大きな魅力です。地球科学の魅力の一つは、研究スケールの大きさです。現在私は、破局噴火が引き起こす気候変動に関する研究を行なっています。破局噴火による気候変動は、地球生命史にも多大な影響を与えた可能性のあるビッグイベントです。何か地球史上重大な発見ができるかもしれない、とワクワクしながら日々研究をしています。生命の起源を探る生命の起源を探る「生命が地球でどのように誕生したのか」という疑問は科学に残された大きな課題です。地球惑星物質科学科ではこの課題にも正面から取り組んでいます。太古の地球で起こった現象を実験室で再現し、アミノ酸や糖などの生命の材料を作る事に成功しています。さらに、どのような環境が材料を組み立ててタンパク質や核酸を作ったのかを研究しています。一方、世界中の地層の調査を通して、最古の生命の痕跡を探す事にも成功しています。それにより生物が出現した時期が特定できます。こうした実験や野外調査を通して得られる情報の一つ一つはバラバラのパズルの様ですが、うまく組み合わせて生命起源の謎の解明に取り組んでいます。太陽系の起源と進化太陽系の起源と進化我々の太陽系は、いつ、どこで、どのようにして、誕生したのでしょうか。この問いに答えるために、現存する始源惑星物質(小惑星起源隕石、彗星起源惑星間塵、探査機リターンサンプル)に残された物質情報に基づき、多角度からの実験的手法で分析および再現実験を行っています。最近では、「はやぶさ2初期分析チーム」の【石の物質分析チーム】として、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星リュウグウ試料の物質科学的分析を行い、リュウグウ母天体の形成から衝突破壊までの歴史(太陽系内での形成位置、天体材料物質、含まれていた氷の種類、天体表層および内部での水との反応による化学進化、天体衝突の影響など)を明らかにしました。先輩からのメッセージ先輩からのメッセージ地球惑星物質科学という学問地球惑星物質科学という学問講座・研究分野講座・研究分野研究ピックアップ研究ピックアップ
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