NaturaResources andEnvironmental l GeochemistryResearchGroup資源・環境地球化学グループ19図4 資源環境地球化学グループで研究している、生命誕生前の地球で起こったと考えられる化学進化 地球上で初期地球の情報が記録されている地域は非常に限られています。我々のグループでは38億年前の地層が残るグリーンランドで最古の生命痕跡の探索を行ったり、25億年前の地層が残る南アフリカから採取した試料で初期生命の実体とそれによって変貌を遂げた初期地球の環境の解明を行ったりと、古い地層に残る太古の地球の情報をたよりに初期地球・初期生命の共進化の解明に挑んでいます。 石油鉱床の生成には生命が深く関わっています。さらに、石油鉱床だけでなく、金属鉱床の生成にも生命が関与したことが明らかになってきています。我々の分野では黒鉱鉱床地域、マンガン濃集帯、石油湧出地域の地質調査や有機・無機地球化学的分析を通して、鉱山資源形成環境と生命活動の関連性を解明することに取り組んでいます。 初期地球に存在した様々な地質環境では、その環境に応じた化学反応が起こったはずです。それらの反応の中には生命に関連する有機物を生成した反応もあるはずです。また、隕石や宇宙塵と共に宇宙起源の有機物も地球にもたらされた可能性があります。 我々のグループでは探査機によるサンプルリターン試料と隕石の分析によって初期太陽系でどのような生命関連有機分子が生成し、それが地球に運搬されたのかを明らかにする研究を行なっています。また、初期地球への小惑星の衝突や初期地球の沿岸域で起こる有機物の濃縮と化学反応などの様々な反応を実験室で模擬して、生命に関連するどのような有機分子が生成し、高分子化するのかを研究しています。これらのアプローチによって、生命誕生に必要な有機分子がどのように生成し、化学的に進化したのかを解明することに挑んでいます。図2 グリーンランドで新たに発見した37億年以上前の生命の痕跡を含む岩石グリーンランド、イスア地域で発見された最古の生命の痕跡を含む、約38億年前の岩石。黒い部分にはグラファイト(炭素)が含まれていて、これを化学分析するとこの時代に生命活動が行われていたことが東北大学の研究で確実視されるようになりました。図3 RNAを構成する糖分子であるリボースの構造とリボースを検出したマーチソン隕石[ Webでもチェック! ]https://sites.google.com/view/tohoku-origin-of-life/1. 地球・生命の共進化2. 生命起源に至る化学進化
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