東北大学 理学部 地球科学系
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VolcanoogyandGeofluds ResearchGroup il 火山学・地質流体研究グループ25図2 高温高圧実験により再現された岩石の微細組織。マントル条件で岩石を合成すると、岩石の粒間に、流体がどのような形で分布するかがわかります。 水・二酸化炭素などのいわゆる揮発性成分の地球内部での挙動は、なお重要な問題です。近年の電磁気学的観測は従来の概念を覆して、CHO系の超臨界流体相が、地殻・上部マントルに幅広く分布することを明らかにしました。そのような流体は、地震の発生など様々な地球科学現象に大きな影響を与えていると考えられています。 沈み込み帯では、スラブから楔形マントルに供給されるCHO系の超臨界流体の移動経路やマグマ生成への役割、化学輸送、火山フロントの形成、スラブ内地震に対する流体の役割、スラブから分離せずに地球深部に運ばれる流体の量、などの重要な問題が存在します(図2・3)。一方、安定大陸下のマントルは手掛かりが少なく、地球化学的なリザーバーとして最も理解図3 図2のような結果から、楔形マントルでの流体の分布と輸送経路についての新しいモデルを提案しています。が遅れている部分の一つです。我々のもう一つの主要な研究目的は、地質流体の実態(分布や存在量・存在状態・循環・化学組成)を解明することです。流体は地表に到達するまでに、時々刻々と周囲の岩石と反応し、また実験でも高温高圧条件から急冷して取り出すことが難しいため、その基本的な性質もまだ十分に解明されていません。我々は、上部マントルや下部地殻から直接もたらされた捕獲岩に含まれる流体包有物の研究、高温高圧下その場観察実験、岩石−流体系の組織形成実験などの様々なアプローチで地質流体の研究に取り組んでいます。 このように火山噴火のメカニズムや地質流体の挙動を科学的に解明していくことで、火山防災や資源探査などの社会的なニーズに対しても、本質的な貢献をすることを目指しています。[ Webでもチェック! ]http://epms.es.tohoku.ac.jp/arcmag/地質流体の実態解明

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