東北大学 理学部 地球科学系
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Groupof Paeoenvironmenta llll Changes andEvoutional l Paeontoogy古環境変動学・進化古生物学グループ05図3 沖縄本島と宮古島の間に昔あった“消えた島”(左)、北大東島のドロマイト(右) 海洋底の堆積層は過去の海洋環境をテープレコーダーのように記録しながら堆積しています。また、海の底には、沈水した昔のサンゴ礁が存在します。私たちは、海洋掘削船や調査船を用いて沈水サンゴ礁や海洋底堆積物のコア試料・ドレッジ試料を採取することで、海洋底に眠る過去の海洋環境変動の記録を掘り起こすことができます。例えば、沈水サンゴ礁の堆積物からは海水準が低かった時代の大気海洋相互作用を、陸棚堆積物や遠洋性堆積物からは過去の海洋循環や水塊構造の時間変化を明らかにすることができます。 石灰岩を含む炭酸塩岩は、暖かく浅い海の堆積物と思われがちです。しかし、炭酸塩岩の種類は多様であり、地球上の様々な場所・環境で形成されてきました。私たちの研究グループでは、世界各地の様々な炭酸塩岩を、地質学的・地球科学的手法を用いて解析・分析し、地球環境の変遷、礁・炭酸塩プラットフォームの形成史、炭酸塩岩の堆積後の変質過程の解明に取り組んでいます。 炭酸塩岩は資源として非常に重要です。例えば、石灰岩はセメントの原料として利用され、中東などの大油田では、炭酸塩岩が石油の貯留岩であるからです。私たちの研究グループでは、資源関係の企業と共同として、炭酸塩岩の資源地質学的研究を展開しています。 琉球列島の島々には、第四紀(現在から260万年前までの地質時代)に形成されたサンゴ礁堆積物が広がっています。琉球列島は変動帯に位置するため、サンゴ礁の”本体”だけでなく、沖合海域で形成された堆積物も陸上で見られるため、サンゴ礁堆積物研究における優れたフィールドとなっています。私たちは、このサンゴ礁堆積物を多角的な観点から検討し、琉球列島におけるサンゴ礁の形成開始時期や要因、海水準変動に応答した形成過程を解明する研究を行っています。また、生物系統地理学分野の研究者との共同研究により、地質学と生物学の知見を統合して、琉球列島の島嶼化の過程を描き出す研究にも取り組んでいます。[ Webでもチェック! ]http://dges.es.tohoku.ac.jp/iryulab/海の底に眠る古環境記録を掘り起こす地球環境と地球資源琉球列島のサンゴ礁堆積物・生態系と古地理

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