東北大学 理学部 地球科学系
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図1 NZアルパイン断層の露頭写真。太平洋プレートとオーストラリアプレートが接している。岡田知己准教授(東北大学、左)とRick Sibson博士(オタゴ大学名誉教授、右)とともに。教授 長濱 裕幸 / 教授 中村 教博*1/ 教授 武藤 潤 / 助教 澤 燦道*1 高度教養教育・学生支援機構(クロスアポイント:東北学院大学) 我々は地震や岩石の変形に関する研究をしています。 地震や地殻変動は、エネルギーが保存しない非平衡なシステムで起こる地球の複雑な変形活動です。数理物理的理論や室内岩石実験および野外地質調査などを有機的に組み合わせることで、観察手法や観察スケールを超えた地球の変形活動の包括的な理解を目指しています。 地震はどのようにして発生し、停止するのでしょうか? 地震波は豊富な情報源ですが、深いボーリングで地震断層を掘り抜いたり、地表に露出する過去の断層の岩石から地下深部での性質を調べることもできます。1995年の兵庫県南部地震を起こした野島断層の電子顕微鏡観察から、地震の際に断層面が摩擦熱で溶融してしまったことが明らかになりました。日本には活断層が多く存在していますが、実際に地震を起こした地下深部の断層が地表に露出しているところは多くありません。そのため、断層を見るために世界中を飛び回っています。図1は、ニュージーランド南島にあるアルパイン断層の露頭です。ここは、陸の上で、太平洋プレート(左側の緑色岩体)とオーストラリアプレート(右側の茶色岩体)が接している非常に珍しい場所です。断層の両側ではプレートの衝突によるとてつもない力で両側の岩石が著しく変形しています。Fault and geodynamics Research Group08断層を求めて断層・地殻力学グループ

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