Fault andgeodynamics ResearchGroup 断層・地殻力学グループ09 様々な岩石変形試験機を組み合わせ、地下で岩石がどのように変形しているかを調べています。プレートの沈み込みによって、日本列島は10-14/sというひずみ速度で変形しています。これは、1 km離れた2地点が1年間で0.3 mmだけ近づくという非常にゆっくりとした変形です。このようなゆっくりとした変形では、硬い岩石も■のようにゆっくりと流動することがわかっています。図2は地下深くで起こる岩石の流動を再現できる試験機を用いて作成した、マグニチュード -4のミニ断層です。この断層に水を加えることで、水が存在しない場合に比べて、断層の強度が1/10〜1/100に低下することが明らかになりました。 一方、地震が発生する際には、岩石がひずみ速度1000/sを超えるものすごい速さで変形することが知られています。このように速いひずみ速度では、なんと岩石は一瞬で粉々に粉砕してしまいます。一方、地震が発生する際には、岩石がひずみ速度1000/s を超えるものすごい速さで変形することが知られています。このように速いひずみ速度では、なんと岩石は一瞬で粉々に粉砕してしまいます。図3は、衝突実験機を使って、ひずみ速度1000/sで岩石が粉砕する瞬間を高速カメラで撮影したものです。岩石が0.3ミリ秒以内で粉砕している事がわかります。このような粉砕試料の形状や粒径分布を天然の断層岩と比較することで、地震時のひずみ速度やエネルギー散逸(消費)過程を調べています。このような粉砕試料の形状や粒径分布を天然の断層岩と比較することで、地震時のひずみ速度やエネルギー散逸(消費)過程を調べています。 地震の起こる時期や規模を正確に知ることは困難です。しかし、これまでの研究から、大地震には様々な異常が伴われることが明らかになってきました。その一つが、ラドンなどの放射性物質の異常があります。1995年阪神大震災の前には、震源から20 km離れた神戸薬科大学の放射線(RI)施設で測定された大気中のラドン濃度が増加したことが明らかになりました。同様な変動は2003年十勝沖地震や2011年東北地方太平洋沖地震前にも現れています。そこで、計算機を使って、これらのラドン濃度の変動が地震活動と統計的に関係しているかどうかを調べてみると、ラドン濃度の変動はある地域での地震の積算モーメント(地震のエネルギー)に強く関係していることがわかりました。このことは、大地震の前に、岩盤に微細な亀裂(割れ目)が発生することで、地中からのラドン散逸が増加し、大気中のラドン濃度が増加する可能性が明らかになりました。現在、断層・地殻力学グループでは、全国の放射線管理施設とともに大気中ラドンモニタリングのネットワークの構築を進め、データ駆動型の地震活動予測に挑戦しています。図2 実験でできたミニ断層の写真図3 高速カメラによる岩石粉砕の様子。1フレームが17マイクロ秒。 地震や断層の問題を難しくしている理由のひとつは、地殻が均質ではなく、多くの欠陥を含んでいるからです。これを乗り越えるため、 非リーマン幾何学を用いた連続転位分布論やそれを発展させた断層周辺の重力場や褶曲理論を地球連続体力学的に研究しています。またFinsler幾何学を用いた地球ダイナモモデル(地球磁場に関するカオス理論)や地震波伝播モデルについても研究を進めています。地震に伴う電磁気的現象の研究は、断層岩の磁性の研究を通して、隕石衝突時のプラズマ磁場生成、原始太陽系星雲の磁場の研究といった惑星科学の現象解明にも発展しています。研究とは思いがけない発展をするものですね。[ Webでもチェック! ]http://dges.es.tohoku.ac.jp/kozo/断層運動を再現する地震を予測3 mm
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