04Astronomical Institute, Tohoku University 我々が住む宇宙はどのように形作られたのか。十万分の1の揺らぎしかないとても一様な初期の状態から、多様な天体の見られる現在の宇宙にいたる過程にはまだまだ多くの大きな■が残されています。より遠くの天体を観測することは、より昔の宇宙にある天体の姿を捉えることになります。初期の宇宙にある形成中の天体をつぶさに観測することで、天体の形成に関わる■を解く手がかりが得られます。 我々のグループでは銀河やその中心にある超巨大ブラックホールがどのように形作られてきたのかを解き明かそうとしています。今から100億年前の宇宙では銀河の中で星がどんどんと誕生し、銀河中心のブラックホールの巨大化も進んだ様子が捉えられ、銀河の構造も今の宇宙に見られるものとは異なっていたことが明らかになっています。さらにさかのぼった130億年以上前の昔、ビッグバンから数億年という宇宙初期にすでに銀河や太陽の質量の10億倍という質量をもつ超巨大ブラックホールが存在することも明らかになっており、宇宙誕生からの限られた時間の中で大質量のブラックホールがどのようにできたのかは大きな■となっています。 我々は、ブラックホールが周囲のガスを取り込んで巨大化する際に、電波・赤外線からX・ガンマ線にわたる様々な波長の光を放射することを利用して、遠方宇宙の銀河の中で巨大化するブラックホールの様子を捉えようとしています。巨大化する初期の段階は銀河中心を覆うガスや塵に深く隠されて進むことも考えられ、可視光では一見何も起こっていないように見える銀河の中心で光るX線や赤外線の信号を捉えることTOPICS 01も重要です。 遠方の宇宙に見つかる銀河や超巨大ブラックホールにおいて何が起こっているのかを解明するためには、高い空間分解能、つまり高い視力を持つ観測装置も必要になります。地球大気中で起こるかげろうは、星のまたたきをひき起こし、地上からの観測の視力を悪くする要因になります。我々のグループでは高い視力を達成するために、アメリカ合衆国・ハワイ州のマウナケア山にある8mの鏡を持つすばる望遠鏡に取り付けて地球大気のかげろうの影響を打ち消した観測を行う装置を実現しようとしています。 世界に一つしかない最先端の装置を作り上げる道筋では天文学以外の様々な課題にも直面し、幅広い分野の方との研究も必要となります。地球大気のかげろうはどのようにふるまうのか、それをどのように高速に精密に測定するのか、天文学と同じ物理や数学をもちいてより身近な現象を考えることもときには必要になります。この装置を用いた観測でブラックホールの巨大化はどのような銀河で進み、どのように銀河に影響を与えてきたのか、超巨大ブラックホール形成の■を解く新しい■を手に入れようとしています。超巨大ブラックホール形成の■に挑む天文学専攻 教授秋山 正幸
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