考古学は、過去の人間社会とその文化の探求を行う歴史学の一分野です。考古学の特徴は、集落や城柵などの遺跡、住居跡などの遺構、出土した遺物を主な研究対象として、歴史の復元を進めるところにあります。旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、古代、中世、近世のどの時代でも、実際の遺跡や遺物に直接触れながら学びます。遺跡の発掘調査に参加し、出土した資料の整理や分析を通じて考古学の基礎を身につけて、卒業した後には考古学の専門職に進む道がひらかれています。考古学陳列館には、477点の国指定重要文化財をはじめ、日本考古学の基準になる豊富な収蔵資料を有しています。また、自然科学の様々な分野の協力を得て遺跡の研究をすすめています。遺跡がいつのものかを年代測定によって知り、昔の集落のすがた、そのまわりの自然環境、生活環境を科学的に復元し、縄文時代の狩猟・漁撈や、古代人の生産活動、土器や石器の製作技術、またその使い方など、様々な研究がすすめられます。最新の分析・観察機器を用いた調査、研究方法も学びます。中国、韓国、ロシア、フランス、アメリカとの国際交流と共同研究も盛んです。 欧州全体を包んでも余りある広々とした大地のうえで、悠久の歴史を持つ中国社会は変化に富む豊かな文化を生み出してきました。その多種多様な文化の個別的内容や特徴、あるいは他の諸地域の文化との間の共通性や異質性などについて、文献を読みときながら研究をおこなう学問の一環として、特に中国思想という学問分野では、人々が営んだ思想に光をあててそれらの具体的様相や歴史的意味、さらには現在的意義を追究してゆきます。中国の思想は、古くから日本人の生き方や考え方に大きな影響を与えてきた観念の体系として、現代日本人の意識にもその奥深いところで強く働きかけています。中国の思想的文献との真剣な対話を通して、人間の本性や運命、社会の在り方などに関する中国人の思想それ自体はもとより、これらの諸問題をめぐる彼我の異同をも考えてゆこうと志す学生を歓迎します。 空間的にはアジア大陸のほぼ東半分。時間的には紀元前十数世紀から現在に至るまで。 そこに繰り広げられる言語と文学の営為を、わが研究室は対象とします。時空の範囲が広い上、記録を重視する文化背景があるために、書記言語・音声言語ともさまざまな変遷と交流の軌跡を示し、文学も、百を優に越すジャンルを擁します。 学生は、まず基礎的な漢文読解力を身につけていきます。また、広く文学史を学びますが、この時、高校までの漢文ではお目にかかることのない、ジャンルと作品に数多く触れることになるでしょう。4年生になる時、これらの中からもっとも関心を引く対象を選択し、必要な原典を、漢文・中国語・日本語を駆使して解読しながら、卒業論文としてまとめます。また、語学力のスキルアップを目指し、中国語圏へ留学する機会もあります。 卒業後は高校・中学の教師になる人・大学院に進む人のほか、培った語学力を生かして、中国市場に進出する企業や、マスコミ(出版社・新聞社・TV局)や役所で活躍する人もいます。 東洋史学が本来扱う範囲は広くアジア全域にわたるのですが、本学の場合は東アジアの漢字文化圏、中でも中国史に中心を置いて教育と研究に取り組んでいます。中国社会は、数千年にわたって独自の文化を築き上げてきました。こうした特色ある「中華文明」の発展過程を明らかにし、その本質に迫ることを第一の課題としています。 紀元前15世紀、殷代において甲骨文字による記録が始められて以来、中国の人々は内乱や非漢民族の侵入等々動乱が相次ぐ中で、それぞれの思いを込めて多種多様の厖大な文献を著してきました。そうした原典史料から当時の人々の生きた姿を読み解くことが研究の第一歩であり、また、最も重要な課題であろうと考えております。シルクロードや三国志の英雄など、多様な関心のただなかで、中国古典文(漢文)史料に立ち向かい、原点に降り立って思索を重ねることに新鮮な感動と喜びを抱き得る諸君を期待します。10Laboratory IntroductionArchaeologyChinese PhilosophyChinese LiteratureOriental History研究室紹介■■■■■■■■■■■■■■
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