東北大学 文学部 学部案内 2025年度入学者用
12/24

 インド・ヨーロッパ語族の一分派であるアーリヤ諸部族がインド進出以前にもっていた言語文化の背景から、インドに発して、チベット、東アジア、また東南アジアに展開した仏教に至る、3000年を超える時代を対象とします。ヴェーダ、ウパニシャッド、マハーバーラタ、ヒンドゥー教典、古典文献(文学、哲学など)と、初期仏典、大乗経典、論書、密教経典などの仏教文献とを中心に、厳密な原典研究を目指しています。授業では文法書や研究書を参照しつつ、基礎的な原典を読みます。遙か昔に遠い地に生きた人々が遺した文献は、人生、死後の問題、世界、宇宙の構成などに亘って真剣な思考と議論の跡を伝え、現代の私たちにも直接訴えかける人類の古典です。かの地で確立し我が国に伝わった「業」や「輪■」などの諸概念を源から■ることができ、他方、ヒンドゥー社会独特の人生観や価値観を学ぶことができます。恵まれた環境で、人類史という普遍軸を頭の中におきながら、国際協力の伝統を誇るこの分野に挑戦する有為な若者を待っています。 英語学では、現代言語学の観点から英語の様々な側面を研究します。英語の仕組みを研究する分野には、語が結合して文ができあがる仕組みを扱う統語論、音声上の仕組みを扱う音韻論、語や文の意味を扱う意味論があります。また、現実の場面での英語の用いられ方を研究する語用論や、情報伝達上の役割を研究する機能論などがあります。さらに、日英語対照研究、英語教育への応用、第1・第2言語の習得、脳研究に係わる認知科学等の分野とも密接な関連を持っています。 英語学の研究では、十分な英語力が前提となります。英語学の授業に加えて、高等英文解釈法や英語母語話者による英語論文作成法を通して、読解力と表現力の養成に努めています。近年は、英語力増進をめざして海外留学を経験する学生も増加しています。卒業生は、教員、公務員、マスコミ、一般企業など多方面で活躍しています。また、毎年数名、より高度な研究をめざして大学院に進学しています。 英文学(English Literature)というと、イギリスの文学のことだとイメージしてしまいますが、じつは、少しだけ正確さを欠くイメージです。 「英文学」「国文学」などの各国文学というイメージは、じつのところ、かなり新しいものです。18世紀以降の、約数百年というやや短めの歴史しかありません。 数百年がやや短め、と聞くと驚いてしまいますね。ですが強烈な広がりのあるものが文学です。数百年という時間にも、ひとつの国という空間にも収まりません。 英文学の世界は、広大な空間と時間のなかにあります。 英文学の「英」は「イングランド」だけを指すものではありません。・・・複数形の世界諸英語(World Englishes)、というフレーズを聞いたことがありますか? スコットランド、ウェールズ、アイルランド、オーストラリア、南アフリカ、カナダなどの文学、また、アメリカ文学、インド英語文学も英文学の研究対象ですし、そこでの「英語」はごく多様です。 時間的にも長大です。文学研究の魅力のひとつは、強烈に長い時間軸なのですね。 英語で記述された文学には千年以上の長さがありますし、そこに影響を与えたものとなると、紀元前の劇や(叙事)詩、さらにはもっと古い時代からのものかもしれない歌や踊りすら挙げうるわけです。控えめに見積もっても、二千数百年にわたる経験、つまり人間たちが言葉・からだ・自然・環境・社会といった「物質的・マテリアルなもの」と長く対峙し続ける経験̶̶これが、総体としての英文学研究が記述すべき対象、つまり〈文化〉です。 この複雑な豊かさにぜひ触れてみてください。 「ドイツ文学」という古風な名前が付いていますが、文学に限らず、ヨーロッパの中・東部に広がる「ドイツ語圏」に由来する文化を学び考える研究室です。 「白雪姫」「赤ずきん」で知られるグリム童話やミヒャエル・エンデの児童文学、バッハからマーラーまでのクラシック音楽、サッカーのブンデスリーガや個性的なジャーマン・ロック、質実剛健のドイツ車、ソーセージとビールに代表される食文化など、ドイツ語圏由来の文化は意外と私たちの身の回りにあふれています。 高校までは触れることの少ないヨーロッパ文化と向き合うことで、人間が生み出すものの多様な面白さを発見することができるでしょう。研究室では、ハイデルベルクやウィーンなどへの留学によって見聞を広めるためのお手伝いもしています。自由で開放的な研究室から巣立った個性的な卒業生たちは、ジャーナリズム・出版・情報などの民間企業、あるいは教育・公務の多様な現場で活躍しています。・・・12Laboratory IntroductionIndology And History of Indian BuddhismEnglish LinguisticsEnglish LiteratureGerman Literature研究室紹介■■■■■■■■■■■■■■■■■■

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る